第106話
渋谷駅に到着し、人々がごった返すホームを抜けて改札を出た。
「ここが渋谷か~」
マリが周囲を見回しながら小さく呟いた。
人混みに少し圧倒されているようだ。
「天音ちゃん、この辺りでおすすめの店はある?」
私が尋ねると、
「うーん、ここから少し行った所に美味しいと評判のカフェがあります。少し行列ができるかもしれませんが……」
「構わないわ。フィアメールたちは?」
と聞くと、
「美味しいものならなんでも良いのだ!」
とフィアメールが頷いた。
「じゃあそこで決まりね。案内してくれる?」
天音が先導して歩き始めた。
ビルの間の細道を抜けると、若者向けのショップが並ぶ通りに出た。
活気のある通りをしばらく歩くと、白壁に緑の植物が飾られた可愛らしいカフェが見えてきた。
「あの店なんですけど、スイーツも食事も充実していて美味しいんですよ」
「それは楽しみだわ」
店内を見ると早い時間だからか混んでいるが満員という事はなさそうだった。
店員さんに人数を告げると店内を案内された。
窓側の席に通されテーブルを三つ並べて使い順番に座る。
マリがメニューを見て、
「これがお店のおすすめみたいです」
マリが指差したのは別紙で置いてある『季節のパスタセット』だった。
内容は、野菜と魚介類を使ったヘルシーなパスタ、パン、ミニサラダ、ドリンクのセットと書いてある。
「美味しそうね、他には何があるかしら」
私が呟き、メニューを捲りながら見ていくとフィアメールが身を乗り出して、
「フィアはこれがいいのだ!」
と指差して宣言した。
指差したメニューは『ふんわり玉子のオムライス』と書いてあり、下にはサラダ、ドリンクを付けるセットも書いてあった。
「じゃあフィアメールはそれだね、他のみんなは何が良い?」
私はみんなに訊いていき、それぞれ好きな物を注文していく。
「私もオムライスにしようかしら」
「じゃあ僕はこのパスタのセットにしようかな」
「俺はこのパスタで」
私はフィアメールと同じオムライスにすることにした。
カイトはカルボナーラのセットに、バロストは季節のパスタセットにした。
みんなが食べるものを決め注文していく。
注文したものが運ばれてきて順番に配られていく。
私の注文したオムライスを見てみると、ラグビーボールのような形で綺麗に卵で包まれて、表面にはデミグラスソースがかかっている。
「美味しそうだわ」
スプーンで卵を割り込むと中の卵がトロリと流れ、中からチキンライスが出てきて、湯気が立ち昇る。
「いただきます」
挨拶をして一口、口に入れると、デミグラスソースの濃厚な味わいとふわとろの卵、そしてチキンライスが口いっぱいに広がった。
「これは美味しいわね」
フィアメールたちを見ると、フィアメールは、
「おいしいのだ!」
と言いながらスプーンで勢いよく食べており、横にいるサタレアは対照的にゆっくり上品にオムライスを食べていた。
二人の前には、ルガルが豪快にパスタをすすっており、バロストは丁寧に食べていた。
「このパスタも美味しいですよ」
カルボナーラを頼んでいたカイトも満足しているようで、そんな事を言っていた。
食事が終わりお会計を済ませて外に出て、
「さて、そろそろまきなつプロダクションに行きましょうか」
私がそう言うと、
「はい!」
「は~い」
と皆が元気よく答えた。




