第105話
走り始め、速度が安定してくるとシートベルトを外し、みんなにお茶と餡子のお餅を配っていく。
竹皮の包装を剥がして楊枝で刺して食べてみる。
ひと口頬張ると、竹皮の匂いと共に滑らかなこし餡が口いっぱいに広がっていく。
こし餡の中からはお餅が現れ、もちもちした食感が楽しい。
「上品な甘さで美味しいです」
そう言いながら隣に座っているマリが楊枝で刺した餡子の餅を幸せそうに食べていた。
それからは、フィアメールたちが窓の外を見て楽しそうにしていたり、
「乗り物なのに揺れをあまり感じないですね」
とカイトが渉に聞いていたりしていた。
みんなの様子を見て楽しんでいると、前の席から、
「これからの予定は東京駅に着いたら電車で渋谷に向かってまきなつプロダクションの会社に行く前に食事にする感じでどうだ?」
と晶が後ろを向いて聞いてきたので、
「早い昼食になるけど良いんじゃない?」
「じゃあ、それでいくぞ」
魔導列車を降りた後の行動を決めたところで、
「まもなく、東京、東京……」
アナウンスが鳴り出した。
降りる準備をして待っていると、徐々に速度が落ちていき停止する。
「降りるのだー」
一番最初に降りようとフィアメールが出口へと向かう。
「フィアメール様、待ってくださーい」
ルガルとバロストがフィアメールを追って出ていく中、みんなも順番に降りていき、私は最後に忘れ物がないか確認してから魔導列車を降りる。
柱がある所にみんなが集まっており、そちらに移動する。
「晶さんと話したのだけど、まきなつプロダクションに行く前にちょっと昼には早いけど昼食を食べる事にしたから渋谷に着いたらまずは昼食よ」
「わかったのだ!」
「わかりました」
「了解」
みんなから返事が返ってきたので出発する事にした。
「東京駅から渋谷だとどうやって行くと良いかな?」
「私が案内します!」
確認すると天音が任せて、といった感じで立候補してきた。
「じゃあ、お願いね」
天音に案内をお願いして先頭に立って歩いてもらう。
私は一番後ろに行きフィアメールたちが
迷子にならないよう気をつけながら着いていき電車に乗って渋谷に向かった。
「人がいっぱいなのだ」
「凄い密集してますね」
電車は満員とまでは行かないが座る事は出来ず、手すりや吊り革に掴まって立っていた。
「ラッシュ時はもっと凄いですよ」
天音がそういうとフィアメールが、
「そんなのには乗りたくないのだ~」
と嫌な顔をしていた。
そして電車は進み、渋谷駅に辿り着いた。




