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聖女じゃなかったので、翻訳チートで商人通訳として生きていきます!  作者: 角まがり


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じゃない方と伯爵(3)

すみません、ちょっと遅くなりました。

「それなら私、多分見分け方わかっちゃいました!」


そう未亜が言うと、ディオゴと領主様は「ん?」と言って、未亜をまじまじと見てきた。


「み、ミア?今、見分け方が分かったと言ったか?俺の聞き間違いではなくて?だってさっきまで、それを不思議そうに見ていなかったか?」


ディオゴがちょっと慌てたように聞き返してきた。領主様は「ほう。」とちょっと面白そうだ。


「はい、多分。あの、でも、他の偽金貨もあった方が確実なんですが、他にもうちに保管されてたりしますか?」


「ああ、まだそうと決まったわけではないが、ちょっと気になるものは別に分けてある。後でまとめて調べようと思って」


「ちょっと待ってて、今持ってくるから。」


そう言ってディオゴは、ディオゴは金庫の方に向かう。その間に領主様はにやにやしながら未亜を見る。


「な、何ですか?」


「いやなに。本当にいい拾い物をしたと思ってな。」


「...引けなくなるので、褒めて頂くのは確実にそうだと決まってからまで待って頂けると...これで間違っていたら、私は穴を掘ってどこかに隠れます」


今更ながら、検証もする前に「見分け方が分かる!」なんて高らかに言ってしまったことを後悔する。


「持ってきたぜ!」


そうこうしているうちに麻の袋に入った金貨をディオゴが持ってきた。中には数枚の金貨が入っている。


未亜はそれらに手を伸ばし、1つ1つのコインを見ていく。


(良かった。やっぱりみんな同じ鋳型が使われているみたいだ。)


「ここにある金貨を見て確認が取れました。これらは全て同じ鋳型から取られたもので、やはり偽金貨であることは間違いありません。」


(逆にこれに気づかなくて何となく変かも?でこの金貨を取り分けられるディオゴもすごい...)


「で、その方法は?」


領主様は、ちょっとワクワクとした期待を込めたような目で未亜の続きを促す。


「ちょっと分かりにくいんですが、ここの部分のスペルが偽金貨は間違っているんです。ここの部分なんですが、本物はご存知の通り「王国の繁栄を!」と言う意味の王国語の古語が書かれているんです。しかし、現代語はスペルが変化し繁栄をの部分のaがeに置き換わっているんです。そしてこの偽金貨は現代語で書かれている。なので、ここに「e」のスペルがあるものは贋金です。」


そう言ってその部分を指し示す。そんなに大きくもない金貨に書かれている文字は確かに「e」と読める。


「確かに!」


本物の金貨と見比べてディオゴは驚きを隠せなかった。


「なので鋳型は古語に精通してはいない方が作られたと推測されます。それに...」


憶測で言うことでもないかな?と思い未亜はそこで言い淀む。


「何だ。気になることがあれば言え。全てここだけの話にしてやる。」


そう言って未亜の続きを促す。そう言ってもらえると安心した未亜は


「これは、完全に私の憶測でしかなく、確証も全くありません。バイアスがかかっていると言われればそれを否定するつもりもありません。」


そう言って未亜は一度ふっと息を漏らした。


「このようなaをeに変えてしまうことがよく起こる言語があります」


「マレビィア語か!?」


ディオゴが目を鋭くさせて言う。最初に取引した国なので、そう考えるのは自然なのだろう。やはり私が穿ってみているだけかもしれない。


「いえ、サヘル語です。サヘル語はaをe

の音のように発音するものが多いので、サヘル語が母語話者の人はどうもaの音が入ったスペルを間違いやすいようなのです。」


これは未亜自身が資料を整理しながら見つけたサヘルの通訳の癖のようなものだった。どの書類にも見られたので、共通して起こりやすいミスなのだろう。


「今回、王国の古語と現代語のスペルの違いがたまたまaではなくてeだった、古語を知らなかった人が作ったからだ、と考えるのが普通です。しかし、このような間違いがサヘル語の母語話者にも多いのも間違いない事実です。先日の弊社との奇妙な商談の件もありますし、警戒しておいても損はないのではないか,と。」


「で、でもさ。俺が分けておいたこの偽金貨はマレビィアとの取り引きのものなんだ。サヘルとの取り引きの時のもので違和感を感じたものはなかったぜ。もちろん、もう一度確認しなければならないけど」


未亜は、それは百も承知だとばかりにうなづいた。その様子を見て領主様は


「ミア嬢。あなたは何を示唆している?」


未亜は首を振りながら


「分かりません。分かりませんが、偽金貨が入ってくるところだけを見ていたら、見落としてしまうものもあるかもしれません。」


領主様は眉をぴくりとあげて


「それは、サヘル国が実はこれを企てた張本人だと?」


未亜はちょっと困った顔をしながら


「分かりません。しかし、金貨を1から作ると言うのはなかなか大変な作業で、個人が勝手にできるものではないと認識しています。そうなると国家ぐるみとなりますが、マレビィアに果たしてどれだけの技術者がいて、金があるでしょうか。そして何よりマレビィアは他国からの観光が経済の主力です。そのようなマレビィアが他国に喧嘩を売るような真似をするでしょうか?そう言った疑問が私の中に残るのです。」


そう言って領主様をじっと見つめた後にこりと笑い


「でも、これは証拠も何もない本当に私の憶測です。約束通りここだけの話にしておいてください、領主様」



遅くなってすみませんでした!

今日も読みにきて下さってありがとうございます。

来週はきっちり午後7時に更新する予定なのでまた読みにきて頂けると嬉しいです!


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