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「はぁ、疲れた。風呂入りたいな」
「わかったわ」
雑誌をソファの隙間に隠し、風呂場へ行ってお湯はりのスイッチを押す。
ついでに洗濯のタイマーを入れようと覗き込んだ時、妙に量が多い事に気付いた。
「なんで、こんなに?」
平日の公一は基本的にスーツだ。
その為、彼の洗濯物は下着とワイシャツ、それに靴下くらいなのに、私服が混ざっていた。
白いTシャツに黒いパンツとシンプルなものだが、妙に引っ掛かった。
Tシャツを手に取り、匂いを嗅ぐ。強い煙草の臭いがした。
一体これを着てどこに行ったのだろうか。
考えながらリビングに戻ると、そこに公一の姿はなかった。
鍵はあるため、外には出ていないのだろう。
トイレにでも行ったのかなと考えていると、寝室から微かに話し声が聞こえてきた。
いつもは開けっぱなしのドアが閉められている。
そっと近付き、ドアに耳を当てる。どうやら、誰かと電話をしているらしい。
「だから、平日は電話してくるなって言っただろ。──あぁ、土曜日にいつもの店だろ」
小声で話しているらしく、所々聞き取りにくい場所はあった。だが、相手は間違いなく取引先等ではないだろう。
「だけど、いい加減これきりにしてくれよ。前にも言っただろ?俺にも家庭があるんだ。毎週毎週家を空けるわけにはいかないし……。はぁ?馬鹿な事言うなよ」
一体誰と会話をしているのだろうか。
せめて相手の名前だけでもわからないかと耳を澄ませていると、浴室から大きな機械音と共に『お湯はりが終わりました』という軽快な声がした。
「び、びっくりした……。心臓が止まるかと思った」
胸に手を当て、蛇口を閉める為にバスルームへ向かう。
リビングに戻ると、お湯はりのアナウンスが聞こえていたらしく、着替えを持った公一が寝室から出てきた。




