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旅館の1番の売りは温泉らしく、室内に10個の浴槽、外に5つの露天風呂があるらしい。
湯に浸かって息を吐くと、瑞穂はまじまじと深雪の胸元を見た。
「どうしたんですか?」
「深雪ちゃん、やっぱりおっぱい大きいよね……。何カップなの?」
「えっ」
こんな風に改めて聞かれたことがないため、赤くなりながら手で隠す。
「……Eです」
「やっぱりー!いいなぁスタイルが良くておっぱいも大きいなんてっ」
「そんな事……。瑞穂さんは何カップなんですか?」
「えー。それ聞いちゃう?見ての通りBだけど」
「瑞穂はもっと牛乳飲まないとね」
そこへ優とさゆりがやって来た。2人ともサイズまではわからないが形のいい胸だった。
「……」
今まで自分以外の女の裸を見た事がない深雪は、思わず赤くなって顔を背けてしまう。
「優さんまでおっぱい大きい!何カップなんですか!」
「Dくらいかな?」
「いいなー!」
どうやら瑞穂は胸がコンプレックスらしい。
「私は胸よりウエストをなんとかしたいけどね」
「私はお尻ね。もっと小さくならないかしら」
みんな充分スタイルは良いと思うが、やはり人にはそれぞれ悩みがあるようだ。
幸い深雪には気になる場所はない。正しくは、あまり気にした事がないのだが。
体を見ると、女らしくなれて良かったとは思う。だがここをもっと細くしたいとか、大きくしたい等と考えた事はない。
他人の体と比べた経験がないからだ。
「こう見ると、深雪ちゃんは本当に羨ましいなぁ。色も白いし……え!なにこの腕!筋肉!?」
両手で腕を揉まれ、悲鳴を上げそうになった。
「これはその……昔鍛えていたから」
「だとしてもこの固さはすごいよ!まるでアスリートみたいっ。もしかして、今も何かやってるの?」
「たまに、筋トレを」
あの会社での事件で、女になっても厄介事に絡まれる可能性があると気付き、公一にバレないように自宅で筋トレをして動きが鈍らないように気を付けている。
素人が身を守る為に行っているトレーニングの為、アスリートの様にバランスの良い綺麗な筋肉ではないが、以前よりは筋力もついてきた自覚はある。
「筋トレかぁ。やっぱり体を絞る為にはトレーニングしなきゃならないのね。優さんも確か、やってるんですよね?」
「一応、週2でジムには通ってるね。アンタの体そんなに凄いの?ちょっと私にも触らせて」
「あ、あの……あまり触られるとくすぐったいので」
「足は?足も見せて」
「えっ!?足ですか?」
深雪に群がり筋肉の話で盛り上がる2人を見ながら、さゆりは「なんで美容じゃなくて筋肉の話をしてるのかしら」と呟いていた。




