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「うわー!綺麗!しかも広いっ」
旅館についた4人は、室内に入るなり声を上げた。窓に近付くと、山から川が流れており、木々は綺麗に紅葉している。
「すごい。これが旅館なんですね」
ホテルには何度か止まったことはあるが、こんなに風情がある場所は始めてだ。
荷物を置くと、瑞穂と一緒に川を見下ろす。
「いい所でしょ?景色が良い場所を選んだんですよ。さ、一休みしたら早速温泉に行きましょう」
「その前に浴衣に着替えなきゃな」
優が押し入れから浴衣と帯を取り出し、深雪に差し出した。
「はい。着方わかる?」
「ありがとうございます。多分、大丈夫です」
着たことはないが、テレビではよく見ているため大丈夫だろう。
どこで着替えようかと辺りを見回していると、優がそっと囁いた。
「風呂は大浴場だけど平気?」
「え?えぇ。大丈夫ですよ」
温泉に来たのだから、それは百も承知だ。なぜそんな事を聞くのだろうと疑問を抱く。
「前にスパに行った時、風呂には入りたくないって言ってたから。その、なんか体に傷とかがあるのかなって心配で」
「体に傷……?」
呟いた時、はっと気付いた。
あの時は腕の焼き痕を見られたくなかった為断ったのを思い出したのだ。
温泉に行くのが楽しみすぎてうっかり忘れていた。
「どうしたんですか?早く温泉行きましょうよ」
早速浴衣に着替えた瑞穂が不思議そうに問う。
深雪は恐る恐る、3人に告げる。
「あの、実は私──体に火傷の痕があって……。ちょっと見苦しいかも」
「え!?そうだったの?ごめんね、知らなくて」
「私たちは気にしないけど……。どうしても嫌なら部屋のお風呂に入る?」
さゆりも心配そうに問う。
大きな傷ではないが、目につくと大体の人が驚いた表情を浮かべる。
しかしせっかく温泉に来たのだ。今さらあとには引けないと、恐る恐る服を脱ぐ。
「えっと……。これは、火傷の痕?」
腕にある楕円形の傷を見た優はぽつりと呟く。
もう何年も経っているが、小さな丸い穴が空いており、中心は赤い肉が透けている。
「火傷と言うか……根性焼きの痕なんです」
自分で入れたものではないが、してきたことを仕返しされたものだ。
その為、敢えてその言葉を使った。
「根性焼きって事は……これ、タバコの痕なの!?」
「自分でやったのか?」
「自分ではないんですが……。でも自業自得なんです。ごめんなさい。気持ち悪いですよね、こんな傷」
服を脱ぎ、浴衣に着替える。
治療しようと思えばできるが、しないのは深雪の自身への戒めだ。
「大丈夫よ深雪ちゃん!その位、お風呂に入っちゃえば見えないし、平気よ」
「そうね。人の体をじろじろ見る人なんていないだろうし。もし気になるなら、タオルか何かで隠して行きましょう」
「根性焼きかぁ。本当にアンタはヤンチャしてたんだね。でもまぁ、顔は綺麗でよかったじゃないか」
予想外にポジティブな反応でホッとする。
「ありがとうございます。できるだけ、回りには見えない様に気を付けますね」
「それじゃ行きましょうよ」
各自着替えを持つと、早速大浴場へと向かった。




