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「ね。美味しいでしょ」
「あぁ。見た目はなんかあれだけど味は美味い。目を閉じて食えばいけるかも」
「白いのが嫌ならトマト缶とかデミグラスソースを使えばいいわよ」
「あぁ、そうか。後でレシピ教えてくれよ。今度嫁さんに作ってみる」
「アンタ、料理できるの?」
夫婦仲が良いのは知っていたが、料理をしてあげているとは意外だった。
「まぁ、最近な。掃除とか食事も作ってるよ」
「へぇ。意外と愛妻家なのね」
昔はカップ麺を作るのも面倒臭がっていたのに。公一は少し不満気に「俺も最近はやってるだろ」とぼやく。
「別に公一がやっていないとは言ってないわよ」
「あぁ、そういやお前、怪我したんだっけ?香ヶ崎に刺されたとか聞いたけど」
「刺されたわけじゃないわ。足を切りつけられただけ。お陰でずっと動けなくて」
「そういや、香ヶ崎は昔から公一にベタ惚れだったもんなぁ。マジでそっちの気があるのかと思ってたけど」
「アイツは俺じゃなくて、自分が認めた強い人間が好きなんだよ。しかも性別構わずな」
あの時の事を思い出したのか、不機嫌そうに飯をかきこむと、「お代わり」と皿を差し出した。
「へぇ。相変わらず変な奴だな。ガキみたいな事言ってないで、さっさと嫁さん貰えばいいのに」
新道はスープの方が好みだったらしく、カップを差し出してきた。
「そうだなぁ。みんながお前みたいに更生できてりゃ良いけど……。きっとそうもいかないんだろうな」
公一はふと、寂し気に笑う。
いつだか言っていた。
昔の仲間できちんと更生できたのは新道しかいないと。
他の仲間がどうやっているかはわからないが、恐らくきちんとした職には就けていないのだろう。
「まぁ俺もぶっちゃけキッカケがないとどうなっていたかわからないけどさ」
「キッカケてなに?」
「結婚だよ」
どうやら新道も、公一と同じように恋愛がキッカケだったようだ。
「新道の奥さんって、どうやって知り合ったんだっけ?」
「看護師。喧嘩で入院した病院にいた」
「えっ。そうだったの?じゃあ看護師と患者だったのね」
ドラマでしか見たことがないような恋愛が本当にあるなんて驚きだ。
「お前、結婚式来ただろ?そん時に馴れ初め話してたのに聞いてなかったのか?」
新道は軽く眉を寄せる。確かに結婚式には出席したが、正直あまり記憶はない。
「嫁さん何歳なんだ?」
公一が問う。確か新道は20歳頃まで荒れていた筈だ。看護師は確か、最短ルートだと20歳からなれるが、そうなると同じ年か年上だろう。
「3つ年上だよ。お前等、人の結婚式で何聞いてたんだよ」
夫婦揃って他人に興味ねぇのかよ、と溜め息を吐く。
「そんな事ないわよ。あ、そうだ。子供が生まれて落ち着いたら、是非見に行きたいわ。奥さんともお話してみたいし」
「あぁ、そうだな。せっかくだし、家族ぐるみで付き合おうぜ。俺も嫁さんの事、ちゃんと見た事ないからさ」
気を使って言ったつもりだったが、新道は相変わらず不満気に「結婚式で話しをしただろうが」とぼやいた。




