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彼の友人は彼女の敵  作者: 石月 ひさか
落ち着かない
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4

「お前達の家は良いよなぁ。駅近で」


新道も分譲マンションだが、職場から電車で1時間程かかるらしい。


冬は真っ暗な時間に起きなければ間に合わないと、よく愚痴っている。


「アンタも都内に買えば良かったのに」


「馬鹿言うなよ。今の給料じゃそんな家、高くて買えねーよ」


上着を脱いでネクタイを緩めると、当たり前の様に冷蔵庫からビールを取り出す。


「それは俺に対しての嫌味か?お前も部長か課長になれば良いだろ。給料も増えるぞ」


着替えを済ませた公一が、苦笑いをしながら呟いた。


「無茶言うな。この年でそんな役職就けるかよ。俺は高卒だぞ?柊さんや柏木さんとかとは違うんだ」


それを言うなら柊さんも高卒だと言いそうになったが止めた。


「いい匂いだな。今日の飯はなに?」


「ビーフストロガノフとパプリカのスープ。座ってビールでも飲んでて」


鍋を火にかけて温め直すと、皿にバターライスを盛り付ける。


「ビーフストロガノフってなんだ?」


新道は食べた事がないのか、ビールを飲みながら首をかしげる。


「まぁ、牛肉の煮込みみたいなもんかな。見た目はビーフシチューみたいな感じだ」


「でもうちはウクライナ風よ」


皿に盛り付けて出すと、新道はあからさまに嫌そうな表情を浮かべた。


「うわ。なんでクリームシチューを飯にかけるんだよ」


「クリームシチューみたいに見えるけど味は違うわよ。黙って食べてみて」


スープを添えて椅子に座ると、公一は「美味そうだな」と呟いた。


「い、いただきます……」


新道はよほどシチューのライスがけに抵抗があるのか、恐る恐るスプーンを入れて口に運ぶ。が、意外そうに目を丸くすると、2口目、3口目と口に運ぶ。

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