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「お前達の家は良いよなぁ。駅近で」
新道も分譲マンションだが、職場から電車で1時間程かかるらしい。
冬は真っ暗な時間に起きなければ間に合わないと、よく愚痴っている。
「アンタも都内に買えば良かったのに」
「馬鹿言うなよ。今の給料じゃそんな家、高くて買えねーよ」
上着を脱いでネクタイを緩めると、当たり前の様に冷蔵庫からビールを取り出す。
「それは俺に対しての嫌味か?お前も部長か課長になれば良いだろ。給料も増えるぞ」
着替えを済ませた公一が、苦笑いをしながら呟いた。
「無茶言うな。この年でそんな役職就けるかよ。俺は高卒だぞ?柊さんや柏木さんとかとは違うんだ」
それを言うなら柊さんも高卒だと言いそうになったが止めた。
「いい匂いだな。今日の飯はなに?」
「ビーフストロガノフとパプリカのスープ。座ってビールでも飲んでて」
鍋を火にかけて温め直すと、皿にバターライスを盛り付ける。
「ビーフストロガノフってなんだ?」
新道は食べた事がないのか、ビールを飲みながら首をかしげる。
「まぁ、牛肉の煮込みみたいなもんかな。見た目はビーフシチューみたいな感じだ」
「でもうちはウクライナ風よ」
皿に盛り付けて出すと、新道はあからさまに嫌そうな表情を浮かべた。
「うわ。なんでクリームシチューを飯にかけるんだよ」
「クリームシチューみたいに見えるけど味は違うわよ。黙って食べてみて」
スープを添えて椅子に座ると、公一は「美味そうだな」と呟いた。
「い、いただきます……」
新道はよほどシチューのライスがけに抵抗があるのか、恐る恐るスプーンを入れて口に運ぶ。が、意外そうに目を丸くすると、2口目、3口目と口に運ぶ。




