3
数週間後。
「はい。もう大丈夫でしょう。完治するまでは痒みがあると思いますが、傷口を掻かないように注意してくださいね」
やっと傷が治り、久しぶりに包帯を外すことができた。
松葉杖を返却し、自分の足だけで廊下を歩く。
「あー!スッキリしたわ。今日からお風呂にも入れる!」
ここ何週間もずっとシャワーだけで済ませており、久しぶりに湯船に浸かれるのが嬉しい。
「髪の毛も切ってさっぱりしたい。そうだ。エステにも行ってこよう」
怪我をしている間は出歩けなかった為、せっかく染めた色も落ちてしまっているし、爪も伸び放題だ。
しかも湯に浸かっていない為、老廃物も溜まっているような気がする。
久々に自由の身になった様に心が軽い。
病院で会計を済ませると、さっそく美容室とエステをはしごする事にした。
「よし。こんなものかな」
帰りにスーパーへ寄り、買い物も済ませた。
今日の献立はビーフストロガノフだ。
正直、牛肉を使ったシチューと何が違うのかはよくわからないが、公一の好物の1つだ。
「バターライスもできたし、あとは帰りを待つだけね」
いつもと同じなら、もうそろそろ帰ってくる筈だ。
今か今かと待ちわびていると、チャイムが鳴り、ドアに駆け寄る。
「お帰りなさい!」
勢い良くドアを開けると、公一は驚いた様に目を丸くした。
「ただいま。足はもう大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。今日病院に行って、包帯も取ってもらったし。後は傷口が完全に塞がるのを待つだけよ」
「そうか。良かった。実は今日、客がいるんだけど」
「誰?」
公一の後ろから、新道が顔を出す。
「よっ。久しぶり」
「新道……。どうしたの?」
新道が来るのは問題ないが、突然どうしたのかと疑問を抱く。
確か妻は妊娠中で、毎日残業も断って即帰宅していると聞いている。
「嫁さんがもうすぐ臨月で、実家で出産する事になったんだ。飯がないから食いにきた」
「そうなの。でもちょうど良かったわ。今日は久しぶりに私が作ったのよ」
公一の鞄と上着を受け取り、リビングへ向かう。




