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彼の友人は彼女の敵  作者: 石月 ひさか
落ち着かない
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2

その日、幸いにも公一はいつもより早く帰ってきた。


夕食の下拵えも済ませ、女性は入れ代わりに帰っていく。


「今日は早かったのね」


「あぁ。出先から直帰したんだ。夕食にはまだ早いよな。先に風呂に入るか?」


「まだ良いわ。それより話があるの」


ビールを飲む公一を呼びつけると、目の前で松葉杖を使って立ち上がる。


「どうしたんだ?トイレか?それなら俺が連れていくから歩いちゃダメだ」


「違うわ。見てよこれ」


松葉杖を使い、少し離れたキッチンまで歩いて見せる。


「ちゃんと歩けるでしょ?立っているだけなら痛くないし、洗濯くらいなら私もできるわ。だからもうハウスクリーニングの人は大丈夫だと思うの」


細かな掃除はできないが、ワイパーで拭き掃除くらいならばできる。


しかし公一は眉を寄せて首を振る。


「駄目だよ。まだ痛むんだろ?松葉杖なしで歩けるなら未だしも、無理をして傷が開いたらどうするんだ」


「そんな激しい動きなんかしないわよ。ちょっと掃除や洗濯をするくらいでしょ?それなら私一人で平気だから、もう契約は──」


「あの人が気に入らないのか?それなら別の人に変えてもらうけど」


「違うわよ。そんな事言ってないじゃない」


彼女は充分過ぎるほどよくやってくれている。


誤解をされておかしなクレームを入れられたら大変だと、慌てて否定する。


「原市さんはよくやってくれているわ。彼女が嫌だって意味じゃないの」


「へぇ。あの人、原市さんっていうのか」


毎日顔を会わせているのに、名前を知らなかったらしい。


「他人が家の中にずっといると落ち着かないのよ。自分でトイレにも行けるし、一人で家でのんびりしていたいの」


「でもなぁ。うーん」


公一は小さく唸る。


「じゃあ回数を減らすのはどうだ?今は週5だから、週3にするとか。いくら歩けても本調子じゃないんだし、買い出しもできないだろ?」


「そんなの通販とかネットスーパーを使うわよ」


「最近はネットスーパーとかも混んでるからね。毎食インスタントってわけにもいかない。週3くらいならそんなに負担もないんじゃないか?」


「……」


確かに毎日でなければ、まだ我慢できるかもしれない。


暫し考えると「じゃあ週2で」と答えた。

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