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彼の友人は彼女の敵  作者: 石月 ひさか
ライバル
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12

ひんやりとした冷たい空気に、深雪は眉を寄せて目を開ける。


意識が朦朧としているせいか、現状がつかめない。


「なに?ここ………」


体を動かした瞬間、腹部がズキリと痛んだ。


思わず呻き声をあげ、片手で抑えた。


左手をつき、なんとか体を起こす。


掌には冷たいコンクリートの感覚が伝わってくる。


「まさかここ……」


髪をかきあげ、周囲を見渡して目を丸くする。


間違いない。


ここは以前、公一達がよくたむろしていた、使われていない倉庫だ。


切れかけた電球に、あちこちに散らばっているゴミや煙草の吸い殻、そして鉄屑。


10年前と何も変わらない状態に、思わず懐かしさを感じた程だ。


「どうしてこんな場所に……。公一は!?」


こんな場所で油を売っている暇はない。


すぐに病院へ向かわなければいけないのに。


「やっと目ぇ覚ましたか」


聞きなれた声がして振り返る。


立っていたのは、香ヶ崎と見知らぬ男が複数人。


「香ヶ崎……。どうして」


「呼び捨てかよ?相変わらずくそ生意気な女だな」


香ヶ崎は眉を寄せると、深雪の格好をじろじろと見る。


「昨日とは違って随分酷い格好だな?すっぴんにパジャマ姿か?いくら焦ってても、そんな格好で飛び出してくんなよ。萎えるだろ」


その時やっと気付いた。


あの電話は香ヶ崎の罠だったのだと。


全身の力が抜け、その場にへたりこむ。


「良かった……。公一は無事なのね。本当に、良かったっ」


自分の身より、公一が無事だったことに安堵している様子に疑問を抱いたのだろう。


香ヶ崎は眉を寄せる。


「お前さぁ、状況わかってねぇのかよ」


「わかっているわよ。私もアンタと話したいと思っていたの。そっちから来てくれて手間が省けたわ」


公一が無事なら、もう怖いものはない。


ちょうど香ヶ崎とはタイマンで話をつけたいと思っていた所だ。


「──お前、いい根性してんじゃねぇか」


後方に立っている男達に目配せする。


それを合図に、3人は深雪に歩み寄り、取り囲んだ。


「なかなか綺麗な女じゃないですか」


「いいんすかぁ、香ヶ崎さん。好きにやっちゃって」


下品な笑い声を上げ、舌なめずりをする。


香ヶ崎はポケットからスマホを取り出すと、カメラを向けた。


「あぁ。たまには女も食わせてやんねぇとな。好きな様にヤッちまっていいぜ」


その言葉が何を意味するのかは理解している。


じっと男達を見上げ、相手との距離をはかる。


「私は香ヶ崎に話があるの。アンタ達に用はないわ。近付くと、怪我するわよ」


視線を反らさないまま忠告を促す。


とたんに声を上げて笑い出した。


「アハハハ!見た目のわりに強気じゃん」


「そんな口利いてられんのも今のうちだぜ」


男達の内の1人が近付き、正面から深雪を体を捕らえる。


熱い吐息が、耳元に絡みついた。


「大人しくしてりゃ、すぐ終わるからさ」


左手が衣服の中に潜り込んだ時だった。

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