現場見学の筈が本番になりました
R15表現があります。お気をつけ下さい。
あれから数日程で傷は完治した。流石はチート持ちである。常人ならば、まだ安静にしていなければならないであろう日数で治りおった。
ちなみに傷痕は残っていない。凄いよウラディミールさん!腐っても(腐ってはいないが)高位神官だよ。
寝台から起き上がって体を動かしてみる。うん、どこも痛くはない。
凄いよ治療魔法。
人体に影響がー。
変な病気になったらどうしようー。
体内の構造変えられたら嫌だよーマッドサイエンティスト反対!
とか、思っていてごめんなさい。
こちらの世界に来てから、なんやかんやでもう数ヵ月も経っている。食べ物や飲み物が人体に悪影響がない事も確認できた。
あとはアレだ。うんアレだよ。アレ。
性行為。
これだけだ。
これさえコンプリートすれば、異世界でのお約束ミッションが達成させられる。
だが待ってほしい。
以前アルに「お前が欲しい(性的な意味で)」と言われて、私も「はい了解です」(こんな軽いノリではなかったが)と言ってはみたが、エロイ事って具体的にはどんな事をするの?
元の世界のような男女がくんずほぐれず、疑暗――じゃないギシアンするの?
それとも雄しべと雌しべ的なアレなの?
まさか、今流行りの触手プレイ的なアレか!?
考えると恐怖でガクガクブルブル…略してガクブルな訳です。
と、言う訳でアルに直接聞くのも恥ずかしいので、私付きの侍女であるロズさんに聞いてみたら。
「では性行為をご覧になりますか?」
と、言われた。そう言われて「はい了解です」だなんて言えません。言え…言え――嘘です。見たいです。滅茶苦茶興味があります。
「ではセオドア王子にお願いをして参ります」
そう言うとロズさんはセオドア王子から了承を頂いてきたのだった。
いいんだ…。一応私年頃の娘さんなんだが。
「ミナ様はこちらの知識がありませんから、興味があるものは知っていってほしい――そうセオドア王子が仰っていましたよ」
セオ王子お気遣いありがとうございます。変態紳士、じゃない変態王子だなんて思っていてごめんなさい。
◇◇
それから連れられて来たのは、郊外にある一軒の美しいお屋敷だった。
今回男女の営みを見せてくれるのは、高級娼婦と高級男娼との事。彼らはきちんと教育された凄腕で、1日会うのに使うお金は超すごいらしく、上位貴族、極々稀に王族の人がお客として来る位凄い人達らしい。
そんな彼らにお願いをして、一軒のお屋敷の一室を借りて、離れた衝立の向こうからギシアンを見せてもらう事になったのだが――。
だが。
「どうしてアルが居るのですか?」
ドキドキしながら衝立の奥に入って行くとアルが居た。しかも何故だか機嫌が悪そうである。
「お前が娼婦達の行為を見に行くとセオドアから聞いてな」
仁王立ちした魔王様の如く言われた。
「えっと…その…こちらの世界のやり方が知りたかったもので」
「それなら俺に言えばいいだろう。セオドアが着いてくると言ったのを無理やり止めて俺が来たんだからな」
うぅ…ますますお怒りになっていらっしゃる。
軽卒でしたよね、すみません。
でもこんな事、恥ずかしくて好きな人には相談できない訳で。
「すみません」
気が付くと素直に謝っていた。
アルは落ち込む私を抱きしめると、「俺の方こそ気付いてやれなくてすまなかった」と耳元で囁き、頬に口付ける。その唇は少し震えているようだった。
「ミナが場の雰囲気に飲まれセオドアと一線を越えていたらと思ったら――…ミナの不安は俺が取り去ってやりたい。これからは俺にいってほしい。言いづらかったら、侍女を通しても構わないから」
切な気な眼差しで私を見つめるアルに、ぎゅっと抱きつく。
「ごめんなさい」
再度謝った。
考えれば分かる事なのに、好きな人が自分ではなく他の人を頼るのは辛い。自分以外を――。
「アル好きです。この世界に居る間はアルに相談します」
私の言葉に一瞬、泣きそうな表情で顔を歪めたかと思うとそのまま唇が重なった。
「ん…アル…」
何度も角度を変えて重なる唇。うっすらと目を開ければ、こちらが苦しくなる程の眼差しで見つめてくるアル。胸が苦しい。
そのまま何度となく繰り返されるキスに酔いしれていると、そっと抱き上げられ衝立の向こうにある扉から連れ出された。
娼婦達の事が気になったが、何も言わずに為されるがままになっていると、そのまま馬車に乗せられる。
走る馬車からの景色を眺める暇もなく、私はアルからの口付けを受け止めるので精一杯だった。
◇◇
連れられて行った先は、童話の中のお城を思わせる建物だった。
「母方の別荘なんだ」
お姫様抱っこをされながら中にはいると、アルが口を開く。
アルの母親はあまり位は高くない貴族だったそうだが、王様に嫁ぐ際にアルのお母さんのお父さん(アルにとってのお祖父さん)が建てた物らしい。
アルが目的の部屋まで私を運んでくれると、知らなかったアルの事が知れて嬉しかった私は、ぎゅっと抱きつく。
「分かってやってるのか?」
そう言われて、恥ずかしくなり慌てて離れようとしたら、逆に抱きしめられた。
「我慢できない」
寝台に優しく寝かせられ、熱っぽい瞳でそう言われて「嫌」と言えようか。
雄しべと雌しべなのか、触手なのか、色んな疑問も吹き飛んでいた私は、全てをアルに差し出していた。
その後、娼婦と男娼の話はセオドアがアルに発破をかける為のネタだった事が判明し、アルが複雑な顔をするとか何とか。ヘタレ王子アル。




