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記憶にございません

R15程度の描写が入ります。

あと恋愛しています。ご注意下さい。

目を覚ますと、見知らぬ天井だった。


白い天井を見つめていると、某有名アニメの主人公を思い出す。彼はどんな気持ちで白い天井を見つめていたのだろうか。


「ミナ」


私を呼ぶ声がする。聞き覚えのあるその声の方へと顔を向けると、声の主が私を見つめていた。


「アル…」


小さく返すと、アルは私の手を握りしめる。


「ミナの意識が戻って良かった」


目に涙を溜めながらアルは私の手に唇を落とす。


うぉ!?


思わず手を引っ込めようとしたが、痛くて動かない。


「怪我はまだ完治していないんだ。無理に動かそうとするな」


言われてから、何となく体全体がジクジクと痛む気がした。


「暗黒竜との戦いでミナは全身傷だらけだったんだ。上手く体が動かないだろう?」


アルに言われ、体を起こそうと試してみたが起き上がれない。うん、とても痛いです。

仕方がないので頷いて動かせない事を伝える。


トイレに行きたくなったらどうしよう…。


「喉は渇いていないか?」


そう問われてから、喉が渇いている事に気がつく。「はい」と掠れた声で伝えると、アルがコップに入った水を自分の口に含んだ。


嫌な予感がする。


予感的中、アルがそのまま私の口に自身のそれを重ねてきた。


「んぅ…」


舌で無理やり唇を開かされると、アルは口内に舌を侵入させてくると、そのまま水を流し込んでくる。


体が動かない私は、それを受け入れるしかない。口内に流れ込んでくる水を咀嚼し、飲み込む。

飲み込みきれなかった水が溢れて顎を流れていくと、アルはそれを自身の舌で舐めとっていった。


それを数回繰り返された私は、最後には息も絶え絶えで頬は上気していた。


「そんな顔で見つめるな…理性が働かなくなる」


そう言うとアルは私の唇に自身の唇を重ねた。






何なんだこれは。


アルに口付けをされながら私は頭が混乱していた。


何でアルがここに居るのかは一旦置いておくとして、何で口移しで水を飲ませられ、それだけならともかくキスまでされているんだ。


てか、異世界人の唾液は体内に入れて大丈夫なのか。変な病気とか移らないのか。寧ろ、アルからしてみれば異世界人である私の方がアルに変な病気移していないか?


長いキスを受け入れながら、そんな事を考えていると、唇を離したアルが蕩けそうな笑顔で見つめてくる。


止めて下さい。何だか死にそうです私。


「この世界を救ってくれてありがとう。愛しているミナ。ずっと一緒に居よう」


そのまま近づいてくるアルの顔を見ながら、またしても私はキスを受け入れる他なかったのだった。






あれ?


今何か言いませんでしたこの人。

「ずっと一緒に居よう」とか何とか。

元の世界に帰るって言いましたよね。


あれ?


何でそうなってるの?キスと関係ありますか…もしかして。


「んぅ…アル――…」


何とか顔を反らして口を開くと、不満気なアルが視界に入った。


「何だ?」


キスの途中で顔を反らした事を怒っているのか、声に刺を感じる。


「あの…私、日本――…元の世界に帰るので一緒には居られませんよ?」


そう言った後のアルの表情は、驚きに目を見開き硬直しているようだった。






◇◇






「つまりあの時の事は記憶にない――…と、そういう事だな」


その言葉に小さく頷くと、アルは寝台に突っ伏した。


あの後、暗黒竜を倒してアルの元へと戻った時の事。アルの告白に対して返した私の返答など、順に説明されたがどれも覚えていなかった。


いや、暗黒竜を倒した時までは覚えてるんだよ。何となくだけど。


過去の英雄達の記憶と共に、無意識に体が動いていた事は――。


ただ、その後の記憶が曖昧だ。

必死で痛む体に鞭打って歩いていたような気はするのだが、詳しくは覚えていない。


だって、気が付いたら見知らぬ天井――でしたから。


「はぁ」


盛大な溜め息を吐いてアルがこちらを見てくる。


何て言うか、ごめんなさい?


「では俺を愛していると言ってくれたのはミナの本心ではないのか?」


真剣な面持ちで見つめてくるアルに私は息を詰まらせる。


記憶にはない。

記憶にはないのだが、確かに私はアルの事が――。


「好きです」


ハッとして目を見開く。私、今何を。

無意識の内について出た言葉に顔が赤くなる。


「良かった…」


アルが嬉しそうに笑う顔から、私は目を離せなかった。






しかし、アルを好きだと自覚したのは良いが、まさかアルに庇われたのが切っ掛けじゃないよね?

吊り橋効果じゃないよね。


だって、気が付いたら私の中でアルの存在が大きくなっていたのだから。





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