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サクサク魔王討伐に行きましょう

「勇者様ぁぁぁどちらに行かれていたのですかぁ」


自室に戻ってくるなり女神様姿改め――人化していたメリ子さんが私に抱きついてきた。


ナニコレいい匂い。


「すみません…メリ子さんにドン引き――…じゃない、ちょっと色々ありまして」


苦笑いしながら私の胸元に顔を埋めるメリ子さんの頭を撫でる。

頭を撫でられてうっとりするメリ子さんは可愛い――可愛いのだが、何だコレ。


無意識に頭を撫でてしまっていた。


こういうのは男の人が好いた女の人にやる仕草ではないのか?


「次からは急に居なくならないで下さいね?一人で延々と話していて恥ずかしかったのですから」


そう言うと頬をプクッと膨らませてそっぽを向く。


ナニコレ可愛い。


拗ねた表情のメリ子さんに和みつつハッと我に返る。いやいや違うだろ。


あんなに清楚な女神様然としていたのに、何で急にこんな可愛らしいキャラになってるのさ。頭でもぶつけたのだろうか?ちょっと離れた隙にメリ子さんに一体何があったと言うのか。


「あの…メリ子さん何でそんな可愛いキャラにチェンジしちゃったのですか?」

「ああ、どうですか?先代勇者様曰く萌系というやつらしいのですがお気に召しませんでしたか?」


おい。


おい…先代。


「うふふ。勇者様が私の居ない所で色々とおありだったようでしたので、気分転換になればと思いまして」


そう言うと私から離れて微笑む。その姿はいつもの神々しいメリ子さんだった。


ていうか先代ふざけるな。


「メリ子さんさっきのキャラは異世界人相手にはもうやっちゃいけませんよ?」

「お気に召しませんでしたか?」


そういうのが好きな人にはたまらんからです。




「それはそうと勇者様も色々とおありだったようですね」


自分から話を切り換えて、私に椅子を進める。


「私で良ければ話を聞きますよ?」


柔らかな女神様さながらの微笑みを浮かべて、メリ子さんは私にそう言った。






◇◇






「アルに告白されました」


メリ子さんと向かい合って座りながら、そう口を開く。


結局私はメリ子さんに事の顛末を話す事にした。こんな事ロズさんには相談できないし、メリ子さんが居てくれて良かったのかもしれない。


さっきの萌キャラは、私に気を遣ってくれていたのだろう。かなり複雑な表情を浮かべていただろうし。


「あのヘタレ――…じゃないアルバート王子に告白されたのですか?」


小さく頷くと「あのヘタレにも告白する勇気が――…」とか何とかブツブツと呟いている。


「その、アルは違う世界の人で血の色は紫色だし、こっちの世界の恋愛事情とか分からないしましてや王子様だし、その…」

「勇者様、不安な事は全て言って下さって構いませんよ」


続く言葉が上手く出て来なくて俯く私に、メリ子さんは優しく言ってくる。


「その…こっちの世界の人はどうやって愛を確かめるのか分からないから怖くて」

「勇者様の世界の方達と同じように愛しい相手に口付けをしたり抱きしめたりしますわね」

「それだけじゃなくて――」

「男女の性の営みですか?」


メリ子さんの言葉に顔が真っ赤になる。アルには恥ずかしくて聞けずに、あの後逃げるようにあの場を離れたのだ。


「安心して下さいな。それでしたら勇者様の世界と同じですわよ」


メリ子さんは私の手を握り、安心させるように言ってくる。


「体の作りも一緒?そういう行為をしたら互いに変な病気にならないですか?」


それが心配で仕方がないのだ。私とアルは別の世界の住人だ。性行為を行うにはあまりにもリスクが高すぎる。お互い何を移してしまうかわからない。


いや、やらなければいいんですけどね。でも、私がアルを異性として好きになったら、したくなっちゃうだろうし。


アルなら王子様だから、私とできなくても他に代替えが利くだろうけども。


てか、普通に考えて何でアルは私が好きなんだ?私なんて異世界人だし、貴族でも何でもないし、特技と言えば精々己の拳で物を破壊する事位だし。


あれか!?私が魔物さん達を次から次へとぶち殺す姿に惚れたのか!?


『楽しそうに魔物を殺す姿に惚れました』とかだったら泣ける。


「勇者様そんなに不安にならなくても大丈夫ですわよ。先代勇者様などそのような事何も考えずにこちらの国の貴族のご令嬢とご結婚されましたし、先々代に至っては『魔物の脅威に晒されている人々の為にも、残りの魔物を退治する旅に出る』と仰って、現地妻を幾人も作りましたのよ」


おまえ達…。


先々代と先代に呆れながら、机に突っ伏す。色々と確認してからやったんですよね!!


「ですからそちら方面に関しては安心なさって下さい」


メリ子さんが私の頭を撫でながら安心させるように言ってくる。


その件に関しては置いておこう。


とりあえずアルが私を好きになった理由が分からないので、理由次第ではすっきりと元の世界に帰られそうだ。


「勇者様、暗黒竜を討伐しても元の世界に帰るには少々準備に時間が掛かると思いますので、暗黒竜を退治してからでも悩む時間は十分にありますわ」

「そうだね!!サクサク倒してそれから考えた方が気も楽かも」


メリ子さんの言葉に顔を上げて同意する。


考えるのは暗黒竜を倒した後にしよう。アルが私のどこを好きになってくれたのかも、その時に聞こう。


大体この手の決戦前に告白だの何だのは、漫画や小説の世界では死亡フラグにしかなりえないしね。


死にたくないですから。






あれ?死亡フラグ建てたのって、アルの方じゃ――。







「うふふ…アルバート王子ってば自ら死亡フラグなるものを立てられましたわね」


メリ子は先代勇者が言っていた死亡フラグなるものを思い出していた。


そう、先代勇者は誰それが戦争を前に愛を伝えていたり、「帰って来たら話があるんだ」等と言っている現場を見るたびに、そっと「それ死亡フラグだから」と口にしていた。


「死亡フラグとは何なのですか?」


銃の姿のままで勇者に問いかけると、勇者は何とも形容しがたい笑顔で「死んじゃうフラグ」と、その意味を語って聞かせたのだった。


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