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愛の告白らしいです

唯一私が知りうるこの世界での変態ではない人物アル。彼の顔を見たら少しほっとした。


「丁度良かった。今からミナに会いに行こうと思っていたんだ」

「そうなんですか…でもアルお仕事はいいの?」

「ああ。それなら午前中に粗方(あらかた)終わらせたからな」

「そうなんですか」


やっぱりアルは凄い。


この間行った村の状況や、他の村にも派遣した医師の事、暗黒竜に対する案件等かなりの事案があった筈なのに、それらについて大体の内容は第一王子や宰相さん達に纏めた書類を提出したらしい。


「直ぐにでも神々の峰に行くべきなのだろうが、こちらにも色々と準備があるからな」


私の覚悟ができるのを待ってくれているのに、さりげなく自分達の都合のように言ってフォローまでしてくれる…。


王子だし格好良いし、仕事も出来て気遣いもできるとか。男前である。


完璧すぎではないか。


暗黒竜の件がなかった時はきっと、そうとうモテていたに違いない。きっと引く手数多だったであろう。


「ミナもし時間があるなら少し歩かないか?庭園には今が見頃の花々が美しく咲いているんだが」


ぼへーとアルに対する賛辞の言葉を脳内に並べ連ねていると、アルから散歩のお誘いのお言葉を頂いた。


王宮内と言えば、殆どを騎士さんの訓練所位しか行った事がなかった。庭園になんて行った記憶がない。


「行きたいです」


一も二もなく私は頷いた。






◇◇






案内された庭園はとても広く美しかった。よくアニメや漫画で出てくるお城の庭園だ。

ただ、不思議なのは庭園の花はバラで満載だった。


いつも思うのだが、この手の王宮の庭には何故バラばかりが植えられて咲き誇っているのか。別に違う花でもいいじゃない。


庭師さんに会う機会があれば聞いてみよう。


内心突っ込みつつも、庭園を眺める。しかし本当に綺麗だ。色とりどりのバラが出迎えてくれる景色は、以前連れて行ってもらった湖とはまた違った景観だった。


「向こうに木陰になる場所があるんだ。あちらへ行こう」


さりげなく手を引いて並んで歩く。

アル…マジで本物の王子様や。


アニメや漫画の世界ではなく、現実に自分の身に同じ事が起こる日が来ようとは。


日本に居たら確実にあり得ない経験である。これだけでも異世界に召喚された甲斐はあったのかもしれない。


暗黒竜倒さないといけませんけどね。






アルに連れられて着いた先はアーチをくぐり抜けた場所に、こじんまりとした空間があり、そこには東屋があった。


「ここなら日陰にもなるし、あまり人も来ないからゆっくりできる」


ベンチを軽く手で払い布を敷いて、私を先にベンチに座らせながらアルがそう言う。


実にスマートである。


正に王子。


正真正銘紛れもない王子様がここに居た。


「どうかしたか?」


ぽかーんとしながらそれを見つめていた私に、隣に座りながら怪訝な顔でアルが聞いてくる。


「なんか、すごく手慣れていると言うか洗練されていると言うか…貴重な物を見せて頂きました。ありがとうございます」


ペコッと頭を下げる。


「くっくっ」


ん?と思い、顔を上げるとアルが口元を押さえながら笑っていた。


「ミナは…くくっ」


何がツボだったのか笑い続けるアル。

箸が転がっても可笑しい年頃なのか。


「だから――…本当に目が放せない…」


笑い終えたアルが優しく見つめてくる。


ちょ!?何!?急にそんな表情をされたら動悸息切れが!!


顔が熱い。顔が赤いのが自分でも分かる。ドキドキしながらアルを見つめる事しかできない。

それからアルは真剣な表情になったかと思うと、私の手を握る。


「ミナ、魔王暗黒竜を倒した後も――」


いや…言わないで。


この世界(ガイアスロイ)に、いや俺の傍に居てほしい――」


それ以上言わないで。


「お前が好きなんだ」


アル!!


全てを言い終えるとアルの胸の中に抱きしめられていた。


薄々気が付いてはいた。初めの頃に比べてアルの態度や表情が柔らかい物になっていたし。


私自身も変態――…じゃないセオ王子やウラディミールさんと居るよりもアルの傍に居る方が楽しかったから、アルが私に対して壁を取り払ってくれていくのが嬉しかった。


だけど、それとこれとは別物なわけで…。


私自身アルに対して恋愛の感情を抱いているのか分からない。でも、一緒に居られるのは嬉しいし楽しい。好きか嫌いかで言われたら確実に「好き」に分類される。


でもその「好き」は、主に人としての好きである。


「ごめんなさい――」


アルの「好き」と私の「好き」の違いに、アルの気持ちを受けとる事ができずに謝る。


「他に好きな奴が居るのか?」


聞かれて、胸の中で首を振る。


「好きな人は居ません。恋愛での好きなら、多分きっと私はアルを好きになると思います」

「今すぐ好きになってくれとは言わない。時間が掛かっても俺は構わない」

「でも、ダメなんです」


先程よりもきつく抱きしめられながら、私には否定の言葉しか出てこない。


「何故――…」


苦しみを耐えるようなアルの声音に私自身も胸が苦しくなる。でも、言わなくては――。


「血が紫だから。あと大学も卒業したいし、このまま異世界に行方不明のままでは両親に申し訳ないし、それから異世界人とあんな事やそんな事をして大丈夫なのかも心配だし、変な病気とか伝染したら…ねぇ?それから――」






私はひたすら言葉を続けた。

アルを見ると何となく遠い目をしていた。





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