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メリ子さんとの作戦会議(仮)

ぼんやりと訓練所の屋根から遠くの景色を眺める。美しい街並みに目を奪われる。

そのままゴロンと屋根の上に横になると、真っ青な空をぼんやりと眺める。


ぼんやりしながらも脳裏に浮かぶのは、暗黒竜討伐の事。


どうやって倒すのか、倒せるのか全く検討もつかない。


「メリ子さぁん〜」

「どうなさったのですか勇者様…そのように覇気のない声を出されて」


気のない声の私に答えるように、手に装着しているメリケンサックが淡く光る。


「どうやって暗黒竜を倒したらいいのかわからなくてぇ」


どんよりとした口調で、屋根の上でゴロゴロしながらメリ子さんに話し掛ける。すると、メリケンサックが更に光ると美しい女神様改め人化したメリ子さんが、私の隣に腰かけていた。


「勇者様…暗黒竜は正に魔王と呼ぶに相応しい残虐性を秘めています。正攻法で向かっても一瞬で殺られるのがオチかと」


見も蓋もない返答にぐにゃりとなる。


「過去の勇者さん達はどうやって倒してたの?」


どうやって倒したらいいのか、過去の話を聞こうとメリ子さんの方へと寝転びながら、視線だけを向ける。


「そうですわね――…」


顎に指を宛ながら思案顔のメリ子さん。なかなか絵になる。


流石美人である。


「初代勇者クリスは聖槍(ホーリーランス)を剣から放ち、暗黒竜が弱体化した所を一気に仕留めましたわ」


剣なのに聖槍(ホーリーランス)とはこれいかに。突っ込んだら負けなのだろうか。


「あの…聖槍(ホーリーランス)と言いましても、剣圧みたいな物ですわよ!!」


メリ子さんが慌てて付け加える。

既に誰かに突っ込まれていたようだ。


しかし成る程。剣圧なら空を飛ぶ暗黒竜にも効果はあるだろう。


当たれば。


「あのですね、確かにクリスは沢山の聖槍(ホーリーランス)を放ちましたけれども、下手ななんちゃら数打ちゃ当たる――の精神で、それはもう頑張って暗黒竜を弱体化させましたのよ」


必死に言い訳を述べられる。


必死なメリ子さんを見ていると、妙に居たたまれない。話題を変えた方が良さそうだ。


「他の勇者さんはどうだったんですか?」

「え!?ええ――…他の勇者ですね。先々代は何を血迷ったのか――…じゃない…正々堂々と真っ向勝負で戦われましたわ。邪気眼がどうとかおっしゃいながら、槍形状の私を構えてとても勇ましく暗黒竜に向かっていかれました」


貴女、今血迷ったとか言いましたよね。


「ええっと…先代勇者は拳銃をばずーか?でしたかしら、設計図通りに形状を変えただけなのですが、そのバズーカと呼ばれる物に変えた私を構えて、暗黒竜を一撃で仕留めましたわ。あれはもう素晴らしかったですね…いつも汗をかきながらフゥフゥしていた青年が、見る者を虜にする輝かしいオーラを放つ異才の勇者様に化けた瞬間でした」


興奮気味に話をするメリ子さん。

しかし、その実かなり先代をボロクソに言っている気がしない事もない事もない。


しかし、毎回話題に出るのは初代か先々代か先代ばかりだな。


「それ以外の勇者さんの話は――」

「特にありません」


無表情で答えるメリ子さんは、正に氷の女王と呼ぶに相応しい怖さだった。背後にブリザードが見えた気がした。

最初の頃は軽く話してくれたのに…。詳しい話はタブーなのだろうか。


とりあえずメリ子さんの話を総合するに、私が暗黒竜を倒す方法としては――。



寝込みを襲う。



結論が出たので、後はどうやって根城に向かうかと、そこにバレないように侵入するか、どうやって一撃で仕留めるかを考えるか。


「大丈夫ですわ勇者様。一撃で仕留める為の的確な心臓の位置は私が存じておりますから、そこへ照準を合わせてえぐりこむように拳を撃ち込んで下さい」

「は…はぁ」


女神のような美しい女性の口から数々のコレジャナイ感満載の言葉を聞きながら、適当に相槌を打つ。


「暗黒竜は何に変身させるのが宜しいかしら?お菓子や果物が良いかしら?それとも瓦礫の廃屋とかは如何ですか?朽ちた廃屋を拳で解体するのはさぞや気持ちが良いかと思われますが――」


ヤバイ。この人ヤバイ人だ!!


おっとりほんわか美女な外見に騙された。この人も変態や!!


若干涙目になりながら、うっとりと語り続けるメリ子さんに気が付かれないように起き上がると、そっとその場を後にした。






◇◇






「はぁ…この世界は変態しかいないのか」


メリ子さんやセオ王子、ウラディミールさんの顔を浮かべながらぼぅっとしながら部屋へと戻ろうと廊下を歩いていると、ドンという衝撃と共に顔から何かにぶつかっていった。


「いたぁ」

「大丈夫か?ミナ」


ぶつかった私を抱き留めるように支えてくれたのは、アルだった。





前回の後書きは嘘になってしまいました。すみません。

短いですが、区切りがいいのでここまでになります。

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