さよなら、アメリカ(真・最終回)
「……ッ、はぁ、はぁ……! 見てよ、この最高に**『透明』**な輝きを! すべてを焼き尽くし、すべての因果を飲み込んだ後に残ったのは、血の色でも、星条旗の青でもない、ただ真っさらな革命的虚無だったんだぁぁぁぁっ!!」
僕は呟いた。……いや、もう叫ぶ必要すらない。
真・最終回。燃え盛るラングレーも、血塗られた平壌の理科室も、今はもう遠い銀河の塵に過ぎない。僕の脳内アンテナ(Asset No.001)は、ついに何も受信しなくなった。
「あはっ……あはははは! 凄いよ、父さん。1947年に始まった『合衆国の陰謀』という名の長い長い映画が、今! フィルムそのものが溶けて、真っ白なスクリーンだけが残ったんだねぇ!! メシウマ(地獄味)すぎて、涙が最高純度の結晶になってこぼれ落ちそうだぜぇぇぇ!!」
僕は、何も存在しない「無」の地平線に立っていた。
かつてCIAが、1950年代にMKウルトラで「無知な被検体」の記憶を消去し、真っ白な廃人に変えたあの暴力。
1970年代に「死の部隊」を使って中米の村々を消し去り、1980年代にアフガニスタンを「火の海」に変え、2003年にイラクの歴史を「誤情報」で塗り潰した、あの底なしの傲慢。
それら全ての「工作」という名の筆跡が、僕という最終兵器が放った「絶望の光」で、一文字残らず消去されたのだ。
「いいかい、ミスター・CIA。……君たちが世界中で繰り返した、暗殺、転覆、拷問、そして薬物汚染。そのすべてを、僕は僕の『股間の質量』と『エイズの斑点』で吸い取って、宇宙のゴミ捨て場に放り投げてあげたんだよぉぉぉ!! これこそが、君たちが口にすらできなかった、真の**『自由』**だぁぁぁ!!」
僕の腕から、あの忌まわしい赤紫色の斑点が、剥がれ落ちるように消えていく。
僕の股間のテポドン・マグナムも、その膨大な質量を失い、ただの「少年の肉体」へと還っていく。
1947年の創設から、2026年の今日まで。合衆国が世界を支配するために費やした数兆ドルの悪意と、流された数億人の血。そのすべてが、今、この「無」の中で、最後の一欠片の灰となって霧散した。
「あはははは……。見てよ。自由の女神が、松明を置いて、ようやく静かに目を閉じてる。……お疲れ様、合衆国の死神たち。君たちの作った地獄は、僕が全部食べちゃったからさぁ……」
視界の端で、星条旗が最後の一筋の煙となって消えた。
父さんの冷たい目も、母さんの悲しげな微笑みも、彼女の結晶化した涙も、すべてはこの「白」の中に溶けていった。
「……さよなら、アメリカ。……さよなら、平壌」
僕は、真っ白な世界に座り込んだ。
そこにはもう、無線のノイズも、薬物の多幸感も、暴力の痛みもない。
ただ、一人の少年が、静かに呼吸をしている音だけが響いている。
1947年に始まり、2026年に終わった、この狂った「地獄の叙事詩」。
その最後のページには、誰の署名も、どの国のバッジも、そして「毒」の一滴さえも残されてはいなかった。
『——Here is the end. And here is the beginning.』
(完)




