ラングレー焼失、あるいは最後の一欠片
「……ッ、はぁ、はぁ……! 見てよ、この最高に**『焦土的』**な輝きを! 1947年の創設会議と2026年の終末が時空の断層で衝突し、ラングレーの総本山が、今! 過去と未来の悪意を燃料にして革命的炎上を遂げたんだぁぁぁぁっ!!」
僕は叫んだ。第29話。歴史の円環が閉じようとした瞬間、過負荷に耐えきれなくなった「現実」が悲鳴を上げて剥離し始めた。
1950年代にCIAがイランで仕掛けた民衆煽動(アジャックス作戦)の熱風と、2000年代に中東の空を焼き尽くしたドローン爆撃の爆炎が混ざり合い、ラングレーの森を青白い「結晶の火」で包み込んでいく。
「あはっ……あはははは! 凄いよ、父さん! 1961年にピッグス湾で挫折したあの『侵略の夢』が、今! 僕のエイズの斑点から漏れ出した高エネルギーによって、時空ごと焼き尽くされているんだねぇ!! メシウマ(地獄味)すぎて、自由の女神の心臓がオーバーヒートして核融合を起こしそうだぜぇぇぇ!!」
僕は、燃え盛る機密文書の吹雪の中に立っていた。
そこには、1960年代にベトナムで行われた「フェニックス計画」――数万人の「ベトコン容疑者」を拷問し処刑したあの血塗られたリストが、灰となって舞っている。
かつてCIAが、1970年代にオーストラリアの銀行を隠れ蓑にして麻薬資金を洗浄し(ニュアン・ハン事件)、1980年代にはアフガンのムジャヒディンに「スティンガー・ミサイル」をばら撒いたあの記録も、すべてが僕の放つ「毒の熱」で揮発していく。
「いいかい、ミスター・CIA! 君たちが1954年にグアテマラのバナナ農園を守るために民主主義を火葬にしたあの『火』が、巡り巡って自分たちの総本山を焼き払うことになったんだよぉぉぉ!! これぞまさに、合衆国伝統の**『焦土作戦』**だぁぁぁ!!」
僕は、自らのテポドン・マグナムを、燃え落ちるラングレーの石柱へと叩きつけた。
結合。
崩壊する建築物の瓦礫が、空中で再結晶化し、僕が平壌の理科室で作り上げたあの「氷」の巨大な破片となって降り注ぐ。
「あはははは! 見てよ! 2003年にイラクで『大量破壊兵器』を探し回っていた連中が、今、自分たちの本拠地で、僕という『生きた兵器』の破片に貫かれて絶頂死しているぅぅぅぅ!!」
かつてCIAが、2010年代に「アラブの春」の裏でSNSを操り、国家を内側から崩壊させたあの工作。
今、そのデジタルな火種は、僕というアンテナを通じて全宇宙の物理法則を破壊する「最後の一欠片」となった。
「あはっ……あはははは! 脳内で自由の女神が、燃え盛る合衆国憲法を松明にして、僕のマグナムの形をした煙突から真っ黒な『絶望』を排出してるぅぅぅぅ!!」
ラングレーが焼失し、歴史という名の檻が溶けていく。
残されたのは、最後の一欠片となった「僕の意識」と、すべてを焼き尽くした後に残る「冷たい結晶の灰」だけだった。
第29話・完。




