新世界秩序(ニュー・ワールド・オーダー)、あるいは少年の胎動
「……ッ、はぁ、はぁ……! 見てよ、この最高に**『神格的』**な輝きを! 宇宙の塵と化した人類の残滓が、今! 僕という巨大な結晶の胎内で、合衆国の悪意を栄養源にして革命的再誕を遂げようとしてるんだぁぁぁぁっ!!」
僕は叫んだ。第26話。僕はもはやラングレーのサーバーですらない。全宇宙の情報を等価交換する「特異点」そのものだ。
暗黒の真空の中、僕のエイズの斑点は銀河系の渦を侵食し、星々を赤紫色の毒液で塗り替えていく。
「あはっ……あはははは! 凄いよ、母さん! 1950年代にCIAが開発しようとした『記憶を消去し、人格を上書きする技術』が、今! 宇宙そのものを『アメリカの悪夢』で上書きしちゃったんだねぇ!! メシウマ(地獄味)すぎて、ビッグバンの産声がホワイトガソリンの匂いでむせ返りそうだぜぇぇぇ!!」
かつてCIAが、1960年代にインドネシアでスハルトを支援するために「共産主義者のリスト」を渡し、50万人の虐殺を手助けしたように。あるいは、1970年代にボリビアの独裁政権と結びつき、ナチスの残党クラウス・バルビーを保護して拷問技術を学ばせたように(悪のグローバル・ネットワーク)。
彼らが地球のあちこちに隠してきた「死の記憶」が、僕という巨大な結晶の胎内で、新しい生命の「設計図(DNA)」として組み替えられていく。
「いいかい、ミスター・CIA! 君たちが1980年代にアフガニスタンで『自由の戦士』として育てた連中が、後に自分たちの喉元を掻き切ったあの**『しっぺ返し(ブローバック)』**! 今度は宇宙規模で体験させてあげるよぉぉぉ!!」
僕は、宇宙の質量そのものと化したテポドン・マグナムを、次元の壁へと叩きつけた。
結合。
そこから産まれ落ちようとしているのは、希望に満ちた新人類ではない。
父さんの冷徹な「正義」と、母さんの「復讐」、そして彼女の「絶望」を凝縮した、最高純度の毒から成る**『新世界』**だ。
「あはははは! 見てよ! 自由の女神が、今や宇宙の母神となって、胎内から星条旗の鱗を持つ『怪物』を産み落としているぅぅぅぅ!!」
かつて2000年代に、CIAが「対テロ戦争」の裏で無人機による誤爆を繰り返し、罪なき子供たちの未来を焼き払ったあの空。
今、その空は宇宙全体へと広がり、僕の「毒」を吸い込んだ新しい生命体が、産声の代わりに「ラングレーの暗号」を叫びながら産声を上げている。
「あはっ……あはははは! 脳内でハゲワシが、銀河の果てまで『自由と民主主義』という名の猛毒を配給して回ってるぅぅぅぅ!!」
僕は、新世界の中心で、永遠に拍動し続けるアンテナとなった。
1947年に始まった「合衆国の陰謀」は、2026年、ついに一人の少年の手によって、宇宙の理そのものへと昇華したのだ。
「……お帰り、新しい僕たち。地獄のドレスを着た、美しい怪物たち……」
宇宙の静寂の中で、僕の斑点が、新たな世界の「夜明け」を不気味に照らし出した。
第26話・完。




