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既視感あるくない?  作者: むぅむぅ星人


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第93話「深海決戦への備え」

ーールーティア基地・指令室。


カルドーネの上申によって、臨時司令となったミハエルは基地内整備に勤しんでいた。


とは言え、几帳面なカルドーネは引き継ぎもスムーズだった。

その上、前任のフェルナンド・リベイロ大佐の流れは可能な限り崩されていない。

彼の緻密さはこう言った点でも評価される。


ミハエルも、その点に感服していた。

「すばらしいな、カルドーネ少将は。」

そして彼と接してきた軌跡を辿り、自己嫌悪した。

「それに比べて私と来たら……

 性格の不一致程度でやたらと喧嘩腰になって……大人げない事だ。

 情けない……」


一人ごちしている中、レティシアが入ってくる。

「なーに、一人でゴニョゴニョ言ってんのさ。」

レティシアはいつもの少し挑発的口調だが、その顔は笑顔だ。

「司令官……どうよ?」

ミハエルは首を振る。

「私には人を統制する素質は無い。

 やはり私はマネージャーよりプレイヤーだと痛感するよ。」

その顔は本当に心労が伺えた。

「はっはっは。まぁ先輩は昔から気苦労絶えませんからね。」

笑いながらマルティンが入って来た。


「相変わらず曖昧ですわね。」

「もっとハッキリ出来ないの?」

「さーせん。感じるって事しか出来ないんで……」

ワーグナーツインズがベルントと話しながら入って来た。


さらに追従して、ギデオンとロメロも入ってくる。

「中佐、またベルントが感じた様です。

 今度は”海中が荒れる”……って。」

ギデオンが説明不足なのを、申し訳なさげに報告する。

そこを、ロメロが具体化する。

「海と言えば、第八艦隊ーーすなわちヨルムンガンドの危機ではないかと。」

「さすが、ロメロ様!名推理!」

ワーグナーツインズは、ロメロの推理を称賛する。


ミハエルもロメロの推理に納得する。

「そうだな。

 ベルントの勘は筋金入りだ。間違いない。」

そして立ち上がる。

「ルニエ提督へ進言しよう。」



ーー通信室。


モニターに、ヨルムンガンドの艦橋が映る。

そこには、マルセロ・ルニエ中将とファビアン・レド大佐がいた。


ミハエルはベルントの予感を進言する。

「……勘のぉ。」

ルニエは予想通りの反応を示すので、ミハエルは付け加える。

「現在、両地上軍は先の作戦で多数の戦力を消耗しています。

 大規模作戦は難しいでしょう。

 コロンゴの立場に立ってみれば、今こそ制海権を取り戻す機会と言えましょう。」

ルニエは怪訝な顔をする。

「中佐よ、我が艦隊の現状を知っていよう?」

ミハエルはわずかに姿勢を正す。

「もちろん存じています。

 ヨルムンガンドの陽電子砲、クラーケンの海中戦力ーー

 確かにコロンゴ軍は、容易に手を出せない状況ではあります。」

ここからミハエルは真剣な表情になる。

「しかし、それはクラーケンあってこそであり、万が一撃破されれば……」

「貴様!クラーケンが討たれる前提で話しているのか?!」

クラーケンに絶対的自信を持っているルニエは、怒ってミハエルを遮る。


そこを、レドがフォローする。

「提督、中佐はそうは言ってません。

 つまり、クラーケンは絶対だが、防衛策は何重にも張っておくべき。

 そう言う事だな。」

レドの的確な説明に、ミハエルも強く頷く。

「左様です。

 地上部隊が静かであれば、ホワイトファング投入の恐れもあります。

 カウンター部隊のシュヴァルツアドラーをお使い下さい。」


ミハエルの進言に、レドはルニエを説得する。

「中佐の言う通り、ホワイトファングが相手ではクラーケンも手間取るやも……

 ここは、シュヴァルツアドラーの協力を受けるべきでしょう。」

だが、ルニエは左手でレドを遮る。

「貴様もクラーケンが敗北すると?

 いいか、海上は海軍のモノだ。

 貴様ら陸軍の手を借りる気は毛頭ない。」

ルニエは一方的に通信を切る。


ミハエルは椅子についてため息を吐く。

「やれやれ。強情な方だ。

 カルドーネ少将が手を焼く訳だ。」

レティシアが皮肉る。

「第八艦隊はあんな無能が頭じゃ大変だね。」

ミハエルはレティシアを見て苦笑。

「そうハッキリ言うな。

 それに、参謀のレド大佐は柔軟な考えを持っておられる。

 もう一度大佐に掛け合ってみよう。」



ーーヨルムンガンド艦橋。


通信を切ったルニエは、怒りが収まらない。

「口うるさいカルドーネがいなくなったかと思えば……

 今度は生意気な若造か!」

レドはルニエを宥める。

「しかし、ファフナー中佐は開戦より多くの戦場を駆けています。

 利用価値は十分にありましょう。」

ルニエは首を振る。

「いーや、どんな事でも陸軍に頼るのはワシのプライドが許さん。」

レドは呆れた顔で、腰かけるルニエを冷ややかに見下す。

(どこまでもプライド先行か……愚かな。

 しかし、ファフナーを利用しない手はない。

 ”あの方”に伺いをたてるか。)


レドは未だ息巻くルニエを後に、部屋を出た。



ーー一方、コロンゴ軍第七艦隊・旗艦サーエヴァンス。


水中戦シミュレーションを重ねているホワイトファング面々。


「ぷはぁ!どうよ俺の槍捌き!海中でも冴えわたってるだろ!

 お前のスモークの中でも余裕で貫けるぜ!」

ケビンが自慢気に言う。

「はいはい。ってか「ぷはぁ!」って何よ。「ぷはぁ!」って。」

マリアが呆れた声で返す。

「そりゃ、水中なんだ。息が上がるだろ。」

「ACE中なんだから、上がらないでしょ。バーカ。」

「っな……!こー言うのはイメージが大事なんだよ!イメージが!

 ねぇビルさん。」


二人の痴話喧嘩を見て笑っているビルは、急に話を振られて少したじろぐ。

「あ、あぁ。そうだな。

 俺も水中でボクシングが役に立つかと思ったが……

 この”ショットナックル”はご機嫌だな。

 一撃で敵が吹っ飛びそうだ。」

サイラスも加わる。

「えぇ、作戦ではビルと組めるから助かりますよ。」

さらにマリアを見て言う。

「それに、この”ジャマーハープ―ン”。

 マリアのおかげで完成したよ。ありがとう。」

マリアは照れる。

「いえいえ、サイラスさんの知識とヘレンさんの力があってですよ。」

サイラスは謙遜するマリアに肩をやる。

「いや、これはNジャマーほど効果はないが、アローにも流用出来るし良い発明だ。」

「あ、ありがとうございます!」

マリアも素直に笑顔になる。


ユアンはキースとシミュレーションで鍛えられていた。

しかし、鍛えると言っても両者は互いに接戦で、ユアンは敢闘していた。

シミュレーションを終え、ユアンとキースは笑顔で語らう。

「それにしても最初はリミッター解除の<トライデントEX>なんて……

 と思ったけど、意外と普通に扱えましたね。」

「だから言ったろ。

 ユアン、もうお前も立派なAce of ACEsだ。

 慎重なのは大事だが、もっと自信を持て。」

「はい!」

ユアンはもう、キースの導きで指揮官としてもパイロットとしても成熟期にあった。


「次!」「はいよ!」

「これは?」「おうさ!」

ゾーイとミリィに相槌を打つようにリズムよくレイが狙撃する。

レイが笑顔で言う。

「うん、二人のピンの位置が完璧だから助かるわー。」

ゾーイがまた挑発する。

「二人ぃ?どっちの方が完璧?」

ミリィも張り合う。

「ねぇ、どっち?!」

レイは答えに困る。

「いや、そこ張り合う必要なくね……?」


ホワイトファングのシミュレーションを見て正規パイロット達は感嘆する。

「すげーな。」

「EXって1.5倍のスペックだろ……もうあんなに使いこなせてるのかよ……」

「って言うか、アレを使えるのがいるんだな。」

「俺たちじゃ水中で精密爆撃出来なかったぞ。」


「それが、彼らホワイトファングの強さだな。」

笑いながらネルソン中将が入ってくる。

一同は敬礼する。

「だが、お前たちも自信は失うなよ。

 海兵の意地を持って挑め。”自分達だって出来る”と。

 さすればお前たちもトライデントを更なる高みに押し上げられよう。」

ネルソンの笑顔の訓示に、パイロット達は経緯を持って敬礼する。

「「は!海兵の誇りをもって望みます!」」


パイロット達を見返した後、ネルソンはホワイトファングメンバーに近づく。

ホワイトファング達はネルソンを見て敬礼する。


ネルソンは切り出す。

「もうトライデントEXは自分のものになったようだな。」

「「はい!」」

「標的のクラーケンは、二本の触手がツーマンセルで襲ってくる――それくらいしか情報がない。

 しかしーー」

ネルソンはレイ見る。

「我々も敵の知らない兵器がある。

 ヒューマン中尉、君が今回の要だ。

 よろしく頼む!」

レイは少し緊張しながらも、しっかりと敬礼する。

「は!」

緊張をほぐすように、ゾーイがレイの背中をパンパンと軽く叩く。

「私たちがしっかりサポートするからね!」

ミリィがすかさず言う。

「私だって!ちゃんとレイを助けるから!」

ゾーイは笑って言う。

「だから、”私たち”って言ったじゃない。」

「むー。」

またふくれるミリィを見てレイがフォローする。

「ま、まぁ二人が居てくれたら俺は必殺兵器で確実に落とせる。

 安心だ。」

三人を見て一同は笑う。


ネルソンはそんなホワイトファングを見て言う。

「やはりACEと言うのは”絆”が力になるのだな。

 君たちなら、必ずや任務を果たしてくれるだろう。

 検討を祈る!」

「「は!」」


未知の水中戦。

だが、ホワイトファングの絆に迷いはなかった。


そして――


深海に潜む海の悪魔との戦いが、今まさに幕を開けようとしていた。


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