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既視感あるくない?  作者: むぅむぅ星人


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第91話「戦場を変える理想」

ーー暗転。


蠢く影たちは、互いの思惑を抱きながら集う。


?C「先ずディパンの諜報員の件だ。」

?B「何か分かったか?」

?Bは失態の為やや焦り気味に問う。

?C「特段取る上げる事項は抽出できなかった。」

?A「所詮は末端……と言う事か。」

?B「しかし、我々の計画を妨げる存在であったのは確かだ。」

?A「それでもディパンは静観で良いのか?」

?Cは両者の危惧を意に返さない。

?C「それが総統の考えだ。」


?Bは失態から逸らす為、話題を変える。

?B「それにしてもだ。今回の侵攻失敗…どう考える?」

?A「それは自分の失態を棚に上げたいと言う事か?」

?B「そうではない。結果としてACEの損失はあった。」

?C「だが、人的損害が少なかった……」

?B「その通りだ。兵の生存は好ましくない。」

?A「要因はエースだな。」

?B「そうだな。次のエースを育成させているが……」

?C「有能な者は戦場を一変させる……英雄か。」

?A「英雄同士で潰し合わせればよかろう。」

?B「それで全てが片付けば……な。」


議論の行く末を考え、?Cが切り出す。

?C「その仕掛けは貴様らに任せる。……しかし。」

?Aが息を飲む。

?A「しかし?」

?C「事態の収拾がつかないようなら、実力行使に入る。」

?Bはピクリとする。

?B「アレを使うのか?」

?C「それは貴様らの働き次第だ。」

?A「ともかく、この戦争に英雄は不要……と言う事だな。」

?B「よかろう。それが総統の意思ならば。」


影たちは標的を二大ACE of ACEsに絞る。



ーーケアン基地。


防衛作戦を終了した各隊の帰還を待つモリス。


戦果を確認する。

「戦死者九、大破ACE二十三…か。

 敵の損害は?」

「ACE撃破三十九。

 揚陸部隊の一部を除き、パイロットは全員脱出しています。」

通信士の報告を聞き、モリスは椅子に深く腰を下ろす。

(素晴らしい戦果だ。

 おそらく敵は本隊を使う前に手を引いたな。)

そして腕を組む。

(……しかし、白オオカミ作戦は彼の不殺の意思の現れか。

 キース・ウォレン……戦場を変えるか。)


考えに耽るモリスに、通信士が伝える。

「少将、北部防衛部隊が帰還です。」

「分かった。英雄たちを出迎えよう。」


チャーリー・トンプソン大佐を筆頭に北部防衛部隊が姿を現す。

彼らの話題はゾーイで持ち切りだった。

「やっぱりゾーイの特攻が効いたよなー。」

「あぁ。あれで敵は固まった。」

「止まった的なら楽勝だったなー。」

持てはやされるゾーイは、照れながら謙遜する。

「それほどでもないよー。私は機体の特性を活かしただけ。

 後はみんなの戦果だよ!」

愛らしい表情で皆を称えるので、ゾーイは更に称賛される。


レイは横目に言う。

「まっ、今回はゾーイ回だったのは確かだよなー。」

ミリィも頷く。

「うん、ゾーイのおかげで皆士気もあがったし。

 それに、私もゾーイの言う通り落ち着いて戦ったら……上手く動けた。」

ミリィはまだ、ゾーイに負けてるんじゃないか迷っている。

レイは俯くミリィを元気づける。

「見てたぜぇ。四方から迫る敵機を一瞬で腕八本切り落とす!

 達人級だったな!」

レイに褒められて、ミリィは頬を赤くする。

「レイだって……長距離狙撃…カ、カッコよかったよ。」

赤くなりながら言うミリィに、レイもどぎまぎする。

「お、おう。何事も鍛錬だな。」


二人を見るゾーイは相変わらず複雑な表情だった。


モリスの元に着いた一同。

トンプソンがモリスに報告する。

「北部防衛部隊、只今帰還しました。」

モリスも頷き、労うようにトンプソンの肩に手をやる。

「うむ。大戦果だったな。

 君に任せて正解だった。」

トンプソンは首を振る。

「いえ、今回はウォレン大尉の作戦が見事にハマったと思います。

 あ、噂をすればですね。」


キースとユアンの第一第三大隊が帰還する。


モリスがキースを歓迎する。

「ウォレン大尉、君の作戦勝ちだな!

 いつも言っている”敵味方問わず最小被害”……見事に体現したな!」

キースは照れながら敬礼する。

「恐縮です。

 でも、本当に被害が少なくて良かった。」

ビルは少し意地悪に言う。

「まっおかげで俺たちは出番なしだったけどな。」

「それでいいじゃないですか。」

サイラスが穏やかにツッコむ。

ユアンは少し不思議がる。

「でも、隊長の想いは敵も呼応した感じがしましたね。

 シュヴァルツアドラー隊……彼らも隊長と想いは同じなのかな。」

「でも、敵は敵!」

「今度こそやってやるぜ!」

マリアとケビンはユアンに同調しない。

しかし、キースは二人を制す。

「いや、彼らも想いが同じなら……殺し合う必要は無いんじゃないかな。」


キースの想いを感じ取りゾーイが言う。

「なるほど、准将の言う通りの男ね。」

「どういう意味だ?」

キースが問うが、ゾーイははぐらかす。

「大して深い意味は無いわ。」

ただ、彼女の顔は次第に真剣になる。

「でも忘れないで。

 理想は戦場を変える力になる。

 けれどーー

 それを守れる強さが無いと、ただの夢で終わる。」

意味深な事だけ言ってゾーイは去る。


レイはキースを覗き込む。

「ゾーイ……分からん奴だな。

 今回は助けられたが……」

キースも俯く。

「大佐の言葉……なのか?」

ゾーイの言葉は、大佐の言葉。

キースの心に一抹の不安が頭をかすめた。



ーールーティア基地・ブリーフィングルーム。


デブリーフィングが行われていた。


カルドーネが切り出す。

「今回は敗因は、敵の作戦に私の戦術が追い付かなかった事である。」

今までのカルドーネから出なかった自己否定から始まった。

あまりに奇妙で場が凍り付く。


カルドーネの肩を落とした姿に、ミハエルも思わず口を出す。

「いいえ、閣下。

 私もホワイトファングの策にハマってしまったのです。

 一重に閣下が責任を感じずとも…」

カルドーネは右手でミハエルを制す。

「いや、ホワイトファングの能力を見誤っていた。」


沈黙が場を包む。


カルドーネが頭をかき上げ言う。

「だが、戦略的撤退により、被害は最小限で抑えらた。

 増援も要求している。ACEだけの補充であれば早急に対応できるだろう。」

その後また沈みだした。

「もっとも、指揮するのは私ではないだろうが……」


モニターに映るレドが言う。

「カルドーネ少将。

 閣下の戦術プランは的確でした。

 私からも上層部へ進言しましょう。」


カルドーネは首を振る。

「現代のACE戦は、巨大な機体をまとった人間同士の戦いだ。

 その操縦者の命はより重要になった。」

そう言って上を仰ぐ。

「私は戦略家を名乗りながらも……

 兵士の命を数としてしか見ていなかった。

 だが、戦場から帰った彼らを見て理解した。

 兵の命を重んじてこそ軍人だと……

 私は誤った戦略家だったのかも知れん。」


ミハエルが言葉を無くす。

「閣下…」


カルドーネは手を、ミハエルの肩にやる。

「中佐、君がルーティア基地の臨時司令をとなる様、上申する。」

ミハエルは突然の事で驚く。

「閣下!それは……」

カルドーネはミハエルを見て言う。

「敵も損傷はある。同じくACEだが。

 しばらくは大きな戦闘は無いだろう。

 それまでに然るべき将官が来るだろう。

 その繋ぎで結構。

 ……私の最後の願いだ。聞いてくれまいか?」


カルドーネの本気にミハエルは敬礼し答える。

「は!閣下の意思を引き継ぎ、ルーティア基地を守ります!」

カルドーネは笑う。

「っふ。君と私は水と油だ。

 無理に意思を引き継がなくても結構。

 君の思うがままに整備したら良い。」


カルドーネは力なく去って行った。

「今回の作戦。

 カルドーネ程の人間をあそこまで変えるのか……」

(本当に我々で戦争を動かせるかも知れん。)

ミハエルは決意を胸に、強く拳を握りしめた。


強硬派の先兵として送り込まれたカルドーネ。

狡猾さと冷徹さを武器に、コロンゴ軍を苦しめ続けた男。


キース達の理想は、そんな彼の心すら変え始めていた。

ミハエルもまた、キースの理想に共鳴し始めている。


しかしーー


二人の英雄を狙う影は、静かに、確実に忍び寄っていた。

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