表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
既視感あるくない?  作者: むぅむぅ星人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/112

第103話「新たな剣の下に」

ーーカリビア山脈・コロンゴ側麓。


ジェイソン・モリス少将は選択に迫られていた。


越境は始まってはいるが、現在三合目。

引き返すことも可能だ。


第七艦隊が、予想以上に早く作戦中止となった。

この現状で作戦を続行すれば、北部の上陸部隊がブラフであると言っているようなものだ。

敵に三択を迫ることで混乱させる算段が、二択に狭まってしまった。


しかも相手はクラウセン。

彼と彼の兵は徹底した合理主義に基づき、死すら恐れない強兵だ。


ーー引き返すなら今しかなかった。


そこへキースから通信が入る。

『現在、ヴァレン峠に向け進行中。

 敵に察知された形跡はありません。』


モリスは考える……

(先の侵攻作戦では、彼らを頼りにしたが為作戦失敗した。

 また彼ら頼りで良いのか?)


返答が遅いモリスにキースは言う。

『第七艦隊の件、聞きました。

 しかし、だからこそ作戦を続行するべきだと思います。

 敵は未知の兵器でネルソン提督を圧倒した。

 なら、俺らのエクスカリバーだって。』

モリスは項垂れる。

「しかし、もはやヴァレン峠が本命だと悟られていよう。

 君たちをむざむざ危機にさらす訳には……」

キースは迷いのない声で言う。

『やってやりますよ。

 エクスカリバーなら必ず!』


キースの力強い声と自信が、モリスに決断させる。

「分かった!

 君たちの新たな力を信じよう!

 作戦は続行する。」

『了解!』

キースはモリスの覇気が戻った事に安堵した。



ーーヴァレン峠に向かうホワイトファング。


敵探知網から外れる為、敢えて迂回路で進んでいた。

迂回路の遅延も、コンバットホイールなら余裕でカバー出来る。

ついでに彼らはエクスカリバーの慣らしもやっていた。


レイが冗談まじりに言う。

「お二人さん、昨夜はお楽しみでしたか?」

キースとヘレンは特に反応しない。


ヘレンが帰還してから、二人は互いの想いを確かめ合った。

もう離れない。たとえ離れても気持ちは繋がってる。

ーー二人の間にはもう言葉も要らない深い絆が完成していた。


「かぁー!なんだよ、そのノーリアクションは!

 もう二人結婚しちまえ!」

冗談も通じないほど絆が深まっている二人に、レイが嫉妬まじりに言う。


キースは少し笑って、レイに反撃する。

「そー言うお前はどうなんだ?」

レイは口ごもる。

「そ、それは……だな……」

レイとミリィの仲も、もうメンバーには知られた所であった。

煮え切らないレイに、ミリィはため息をつく。

そして、周りは笑う。

皆は二人を温かく見守っていた。


和む空気を少し緊張させるように、ユアンが切り出す。

「しかし、エクスカリバー凄いですね。」

「ゾーイの言った通り、慣れたらこんな最高の機体は無いな。」

ビルも笑顔で頷く。

「俺なんて、こんな事出来るようになりましたよ!」

そう言うと、ケビンはダッシュから軽くジャンプし滞空する。

そのわずかな滞空時間で、ランスを十突きしたのだ。

「ヒュー。やるなぁ。」

サイラスが感心する。

「それなら、私だって!」

負けずにマリアが少し離れると、ローラーダッシュしながらも一瞬で全機ロックした。

「この速度で全機マルチロックか。

 これなら後方は安心だな。」

キースに褒められ、マリアは明るい表情になる。

「隊長ぉ。俺も褒めて下さいよぉ。」

マリアを見てケビンが拗ねる。

「お前は犬かよ……

 射撃なら、俺だって、ほれ。」

レイはそう言うと、遠く離れた岩山の頂点をピンポイントで撃ち抜いた。

「やっぱりすごい……

 でもね。」

そう言うなり、ミリィは走行するレイに並走して喉元にソードを突き付けていた。

「ま、参った。」

レイが思わず手を上げる。

「ははは。こりゃレイは尻に敷かれるな。」

ビルの一言で皆がまた笑う。


困難な戦況でもホワイトファングは希望を捨てない。

冗談を挟みながらも突き進む。

キースは皆を見て「行ける!」と確信した。


やがて峠口が見えてくる。

「ホワイトファング大隊、目標ポイントへ到着。

 ポイントはテイラー准将が抑えてくれてます。」

ネイサン・テイラー准将が答える。

『時間通りですね。さすがです。

 では、宜しいですか?モリス少将?』


モリスは立ち上がる。

『ホワイトファング大隊、作戦開始!

 一気に峠を抜け、敵地を荒らしまわってくれ!」

キースは操縦桿を強く握りしめる。

「了解。

 これよりホワイトファング大隊はヴァレン峠を越境。

 エウロパ領へ侵攻します。」

そして皆を見る。

「おそらく、峠の先にシュヴァルツアドラーがいる。

 でも、今の俺たちなら必ず勝てる。

 恐れるな。行くぞ!」

「「了解!!」」



ーーヴァレン峠。


ヴァレン峠を進むホワイトファング大隊。

隘路が続く危険な道。

しかし、彼らは速度を落とさない。


国境線を越えいよいよ敵警戒網に捕まる。

「敵機発見!」

「は、速い!?」

「あのスピードで進めるのか?!」

エウロパ軍はなにも出来ない。


「悪く思うな。」

キースがそう言うと、走行ざまに脚部へ射撃する。

「ぐわぁ!」

「脚部損傷!」

「敵機…九!」

「ヴァレン峠を…!」

通信を試みる敵機をレイとマリアが的確に潰す。


「っしゃ!もうゴールだ!」

ケビンが叫んだ。

「それでは仕上げです。」

サイラスが去り際にジャミングアローを数発放つ。


これでヴァレン峠は孤立した。


峠を抜けたホワイトファングはカリビア市に向けて加速する。



ーールーティア基地・司令室。


『敵機…九!』

『ヴァレン峠を…!』

ヴァレン峠から僅かに聞こえた通信を聞く、ディートリッヒ・クラウセン少将。

その脇にはミハエルとマクシミリアン・シュヴァイツァー大佐がいた。


ミハエルが言う。

「九機での強行……ホワイトファングかと思います。」

シュヴァイツァーJr.が言う。

「では、貴官らの出番だな。」

ミハエルは俯く。

「しかし、進軍スピードが異常です。

 まるで単独行動で陽動しているような……」

クラウセンが静かに言う。

「では、なおさら貴官の役目だ。

 行って彼らの動向を探れ。」

ミハエル敬礼する。

「は!では、早速出撃します。」

(ついに敵に領土侵犯を許してしまったか……

 戦局が泥沼化する前に追い返さねば!)


走りゆくミハエルを見て、クラウセンは言う。

「後続にドルムキマイラ(防御型)十八、ゴーキマイラ(攻撃型)九の1個大隊つけろ。」

シュヴァイツァーJr.は驚く。

「一個大隊……ですか?」

クラウセンは一言だけ言う。

「そこが敵本隊だ。」



ーー格納庫。


ミハエルは複雑な顔でいる。

レティシアが心配する。

「気になるかい?」

ミハエルは頷く。

「先の戦いでは一機高速機がいたただけで戦況は混乱した。

 彼ら全員がその力を手にしていたら……」

マルティンは勇気付ける。

「やる前から負けを考えてちゃ勝てませんよ。」

ロメロも続く。

「今度こそ彼らと決着を付けると、決心したではありませんか。」

ワーグナーツインズが即座に同調する。

「「そうですわ。ここで因縁を断ち切りましょう。」」

エミールも拳を強く握る。

「ここで彼らを討てば、もうコロンゴに侵攻余力はなくなる。」

しかし、ベルントは顔色が良くない。

「……風は向こうに吹いてる……」

ギデオンはベルントの背中を叩く。

「それでも、俺達は退く訳にはいかないだろ。」


ミハエルは気を取り直す。

「ギデオンの言う通りだ。

 いかな敵だろうと、敵は領土侵犯している。

 必ず彼らを追い返さねばならん。

(キース・ウォレン……君は何を望むのだ……?)

 シュヴァルツアドラー隊、出撃する!」

「「了解!!」」


新たな力を手にしたホワイトファング。

それを迎え撃つシュヴァルツアドラー。


カリビア山脈が見据える地で、両者は再び激突する。


新たな剣の真価が試される。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ