修道院
私はテレサさんから新しいお洋服をもらった後、馬車へと戻りました。イモムシさんが道案内してくれたんです。
馬車も御者さんも無事です。良かった。
御者さんは山の中で途方に暮れていたみたいで、
「良かった。無事だったか」
私は頷いてから、馬車にまた乗り込みました。
森の木の形が変わっていて、不思議です。こんなことがあるんですね。
御者さんは、
「俺が魔物に襲われてから、意識を失っていて、気がつけば、森の木が成長していて不思議なもんだ」
「本当ですねー」
木になった果実は見たことがないものでしたが、食べてみるとおいしいです。なんか元気にもなります。
でも、イモムシさんは嫌がって食べません。おいしいのになー。
それから、馬車は一週間も進んで、山奥の修道院へとたどり着きました。
御者さんはさっさと私をおいて、戻っていきます。
「イモムシさん、今日から信仰生活ですよ」
「きゅ〜」
私は修道院の扉を開けると、院長さんが出てきて、
「メリッサさんですか?」
「そうです」
「教会からのお達しであなたを修道女として受け入れることを拒否しなければなりません。敷地内に入れることも禁止です。送って差し上げたいですが、当修道院には馬車がないもので……。もう馬車もいないようなので、心苦しいですが、どうかお戻りください」
「……そうですか。さよなら」
私は背を向けて、歩き出しました。
「イモムシさん。違う修道院に行こう。王妃様からの命令だから、修道女にならなくちゃ」
そこに、テレサさんがやって来ました。
「メリッサちゃん。戻りましょうか」
「でも……」
「王妃様の命令なんでしょ?メリッサちゃんは王様の召使なんだから、ちょっと王妃様の命令は破っても大丈夫よ」
「そうですか」
私とテレサさんは何日も歩いて、麓の村につきました。
それから、そこで馬車を雇って、王都へと戻ったのです。
王都に入る時、テレサさんが、
「メリッサちゃん。これから王都に入るけど、見つかっちゃいけないから荷物の中に隠れててね」
「はい」
無事に王都に入れた私は、酒場ふきだまりへと向かったのでした。
今日もふきだまりがある町は元気で、おじちゃんが壁に向かって、「俺の人生はー俺はー本当はー返せー!」そう叫びながら、リズミカルに壁を両手で叩いていました。
いつも通り、平和です。
私はしばらく酒場ふきだまりで過ごすことになりました。




