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メリッサちゃんは王様のかわいい召使  作者: 桜雨実世


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暗闇の光(メルヴェーユ視点)

 メルヴェーユは大陸会議出席のため、隣国へと訪れていた。

 妻アリューデの母国でもあるが、現在、この国は治安が悪く、馬車越しから覗いても民の顔は暗く、雰囲気の重さが伝わってくる。


 なんでも、テロリストが辺境で暴れているという報道もあり、会議も厳重な警護の元行われると事前に言われていたが、兵や騎士たちの士気が低いのが伝わってくる。


(こんな危ない国来たくなかったな……。飯はうまいのが救いだな)


 秘書にメリッサへのお土産調達を命じつつ、自分は公開会議へと赴く。

 開催場所は離宮。


 内装は豪華そのもので、目の保養にもなる。


 会議の内容自体はすでに官僚たちが詳細を詰めているので、話をそれっぽい面して聞いて、書面にサインして、適当に観客たちに手を振るだけで終了だ。


 会議の終盤で、いきなり覆面の男たちが乱入し、人を殺し始めた。

 服を見ると、身なりがいい。


 ということは、内通者か。


 メルヴェーユは座りながら、あたりを見回し、殺されていく人々と殺していく人々を見つめる。


(警護が来ない。全員、グルか。警備ガバガバだな、ヤバいな。イモムシでも呼ぶか)


 そう思っていると、テロリストの一人が、なにか呪の道具のようなものを取り出し、叫んだ。

「闇に包まれてくたばれ!」


 邪悪な闇の光りに包まれ、気がつけば、全てが暗闇に飲まれていた。


 人々は意識を失っている。テロリストですら。


 命がけの特攻といったところだったのだろう。巻き込まないでほしかった。


 だが、自分はまだ意識がある。


 なぜだろう?と思ったら、胸元が光っている。メリッサからもらった護符が光り輝いているのだ。


 取り出すと、護符からふわりと天使の少女のエネルギー体が出てきた。


『私、メリッサ!王様のお姉ちゃんで召使なの!だから、ルンルンするの!』


「メリッサなのか?」

 メルヴェーユは驚きで声を上げた。


 その肌には、黒いあざは一切なく、背には白い純白の羽が輝いている。そして、体も年相応に成長している。


 メリッサの魔力が人の形をとったもの……かもしれない。


 メリッサはメルヴェーユを抱きしめた。

『そうなの。殻があって、出られないから、大人になれないの。でも、お姉ちゃんだから王様を守ってあげるの!』


 メリッサは9歳頃から成長が止まっている。それが、天使になる前の段階なら……。

 天使になってしまったら……。


(まずいな。デカい羽で城の中を歩き回れたら……。いや、もしかして、天の世界に帰ったら……、俺はひとりぼっちだ……)


 メリッサはメルヴェーユを抱きしめたまま、言葉を発することなく、そのまま目を瞑った。


 この状態のまま黙って待っているわけにもいかない。

 どうしたものかと悩み、レイエを呼んだ。


 やって来たレイエは黒い異形の姿をしている。

 本体はデカいイモムシのくせに、カッコつけやがって。


 メルヴェーユの内心を読み取った魔物は、媚びるように、

「素敵な女性にもなれますよ。ヒヒヒ」


「テロリストが変な呪の道具を使ったらこうなった。なんだ、ここは?」


「魔界を再現したようなエネルギーの圧がこの空間にありますよ。そういうエネルギーで人をくたばらせうような道具なのでしょう。魔物の臭いもプンプンしますよ。良かったですね。メリッサの護符があって。誰も今のところ、このエネルギーの圧でくたばってませんよ」


「なんとかできるか?」


「もちろん。俺にお任せくださいよ。元に戻してあげますよ」


「頼んだぞ」


「お任せくださいよっ! ハハハハッハ」

 レイエは豪快に笑って、豪快に身を翻し、飛び立っていった。


 狂ったような喜びように、メルヴェーユは若干ドン引きした。

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