第二十六話「友として」.4
翌朝、ボクとアナトはルミスの下に向かった。
朝食を追え、集落の奥。木々の間に吊るされた木像を磨く彼女を見つけた。
「ルミス! 今手を離せる?」
〈朝から何ぞや。今そちらへ参る〉
木像を吊るす蔦をスイスイ歩いてきた彼女は、重力を感じさせないような動きでボクらのいる地面まで降りたった。
〈どうした? 弓に何か不調か?〉
「ううん。弓はばっちり、またあとで練習させてもらうけど、本題はこっち」
グイッとアナトに背中を押されたボクは、ルミスと対面する。不思議そうにこちらを見るルミスに、ディスプレイを見せた。
『独立戦争には参加できない。ボクはハンターナイトで、標的はガイドー。帝国と本格的にことを構えることは、ボクの望みでもないんだ』
〈おぬしにとって、ガイドーは親の仇であったな〉
『うん。だけど帝国そのものをどうにかしたいとは思っていないし、連邦にも、両親を裏切った人はいる。そっちもこれから、対処しなくちゃいけない』
これから先、アクシャハラ・リアクターを誰かに渡すことはない。少なくとも、両親の悲劇のようなことが再び起こる危険性がある以上は、誰にも。
〈だからこそ、帝国と戦っている暇はないということか〉
『帝国と戦うことはあると思う。でも、それはここだけの話じゃない。連邦内でも、もっと別の銀河でも、戦い続けることになると思う』
〈では、ここに留まる訳にも行かぬな〉
『ごめん。これから大変なことになるはずなのに』
ボクの言葉に、彼女は首を横に振る。
〈何を謝る。この星に奴らが来た時、戦わなかったのは我らアルヴァスの民。その戦いがようやく始まるというだけだ。そなたがいなければならない理由はない〉
『でも、ボクが来たことで、君の両親は』
〈お主が来る前から、この反抗作戦は開始されておった。だから、気にするでない〉
それでも、ボクが居てくれたらと思ってくれたから、昨日残ってほしいと言ったんだ。
『嬉しかった。頼ってくれて。クワハウの友としても、ボク自身としても』
〈ならば、この一時の共闘を、楽しむとするかの〉
ルミスが差し出してきた手を、ボクは改めて握る。
この星でどんな戦いが起きるかはまだわからない。
それでも、ここに来た目的を果たしきるまでは、彼女たちとともに戦い抜こう。
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