第二十五話「因縁の再会」.4
ガイドーの存在を確認し、街の地図も完成させて、あとは実行に移すだけ。
ボクらはより作戦を思考していく。
〈これからあの者らの首魁を打倒せんとするわらわが、末端の兵に息災であれというのは、おかしな話だの〉
『君は市民に被害を与えたくはないんでしょ。なら何もおかしくないよ』
敵を選び戦うのは難しい。特に本来侵略者と原住民という立場であるアルヴァスにとって、帝国軍を気遣うのは矛盾した行為だ。
それでもクワハウの友としての矜持を貫くからこそ、アムリット・エンジンを持つに足りえる種族なのだ。
『ルミスのご両親とは、連絡が取れないの?』
〈知っての通り、アンブロスであろうとアムリットであろうと、単なる動力機関であることに変わりはない。わらわたちは通信施設も車両も持ち合わせておらぬ。そういうものを否定した生活を送ってきたわけなのだからな〉
現行文明を超える動力機関を持ちながら原始的生活を送る。矛盾した生活様式でありながら、充足したものになっている。
アルヴァスたちの平穏を乱さず、成果を得る。単純な話だが、内容は難しい。
『アルヴァスの弓の射程はどのくらい?』
〈狙いさえつけられるのならば、最大で二ファルサングはできよう〉
【ではスポッターは私にお任せください】
通常の狙撃銃では五キロの射程でも破格どころではない。実弾ライフルがせいぜい数百メートルで減衰してしまう。一方でアルヴァスの弓は長距離射程用のレーザーライフルと同レベルの射程を保有する。さらに狙撃手の位置がばれにくい。
レーザーは実弾と違いほぼほぼまっすぐにしか飛ばないため、城壁に囲まれた街の外からの狙撃は不可能。
壁の向こうから曲射で攻撃できる弓は、攻城兵器として常識破りの性能を持っている。
「でも、矢自体が残っちゃったら、ばれちゃわない?」
〈アムリット・エネルギーを応用した実体化矢弾を使う。三分ほどの持続時間しかないため、二ファルサング分しか届かんがの〉
『十分すぎるよ。それに、攻撃した証拠が残らないのなら、気兼ねなくやれる』
アムリット・エンジンは、エネルギー性能こそアクシャハラ・リアクターに劣るが、瞬間出力では匹敵、もしくは上回ることすら可能だ。限界知ら不という呼ばれ方は、決して誇張表現ではない。
「それじゃあ、一斉射撃でアーマーガンナーを制圧したとして、そのあとは」
『直接研究施設に乗り込む。レイハガナを使って、研究室を突破する』
「ん、まぁ、そうだと思ってた」
最後は突撃あるのみ。少し呆れ顔のアナトだけど、反対はしない。
心配することは信頼していない証拠ではない。信頼しているから心配するし、信頼しているから作戦の実行を承諾する。
『作戦開始は明後日の日付の変わり目。他の傭兵や艦隊が近づく前に』
「わかった」
〈民の精鋭に作戦を伝えよう。その時、細かいところは調整する〉
翌日、ボクたちはモノホイールでアルヴァスの集落へ向けて帰還した。
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