第二十五話「因縁の再会」.3
都市のドヘイディアの一角にある宿屋に泊まった。
ヴァーグスのコーエンの教会を離れて幾日。久しぶりに感じるベッドに座りながら、ボクはガントレットのホログラムを起動する。
隣にはアナトが座り、向かいにはルミスが椅子に腰かけている。
『惑星上空を偵察機で確認したところ、都市の地図が完成した。ホチャー』
【はい。ガイドーの宇宙艦隊の配置は現在このようになっていて、都市防衛体制を敷いています】
ほぼ円形の街ドヘイディア。その上空を行きかう宇宙艦隊。
最初に惑星に突入した時より増えた艦隊を、もう一度突破するのは難しいだろう。
「その分他の空域が手薄になっているから、脱出はこっちからしやすそうね」
〈逃げる算段は後でよいだろう。それより、この防衛網にどう石を投げる? 下手に手を出せば、火傷するのはお主だろう〉
艦隊を相手にするには戦力が足りない。連邦軍は帝国とことを構えるのは消極的で、実効支配されているこの星を取り戻そうとする気概は薄い。
『ガイドーが本拠地にしている総督府と、公益エネルギー研究所はここにある』
「近いわね」
『軍の待機所が周囲を囲んでいて、緊急時にはここ一区画を要塞化できるように設計されている。豪胆なスペースパイレーツに思えるけど、とても慎重で周到だよ』
事前に護衛艦隊を退かせる裏工作までしていた男だ。十年経った今でも、その気質は決して変わらないだろう。
『総督府に配備されているアーマーガンナーは、三十二機。拠点防衛としては順当数だよ』
〈それに加えて研究所、待機所にまだまだ兵、軍用車両と地上戦力が目白押しだの〉
「さすがに、フィオガ一人じゃきつくない?」
『アクシャハラ・リアクター搭載機でなければ、何とかなる気もするけど』
それも、絶対確実、というわけじゃない。
〈少しくらいなら手を貸せるであろう。父母より帝国による侵攻を許すなというお達しもあるからな。隠れて狙撃することくらいの援護はできるであろう〉
「アムリット・エンジンって、アクシャハラ・リアクターみたいな攻撃性能はあるのよね」
〈むろん。アンブロス・ジェネレーターを上回る性能を持つエンジンであり、上位互換。フィオガのものほど小型化できておらぬ帝国の装備など、恐れるに足らずよ〉
アンブロス・ジェネレーターは銀河中で使われている動力源だ。ただし、その小型化は様々な勢力企業が取り組んでなお、苦戦を強いられている。
それよりすでに小型で、高出力のアムリット・エンジンとアクシャハラ・リアクターが存在する。帝国としては、アルヴァスの技術は本来喉から手が出るほど欲しかっただろう。
〈アクシャハラ・リアクターの実用化が進めば、わらわたちの優位性が崩れ、危険が増す。アルヴァスの安全のためにも、そなたには成功してもらわねばならん〉
『責任重大だね』
準備完了次第、攻撃を仕掛けることが決まった。
狙いは、アクシャハラ・リアクターの研究施設だ。
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