第二十五話「因縁の再会」.2
クロビアン人の成長限界はよく知らない。
ただ、ガイドーだと認識できたのは、あの男から発する圧力に覚えがある気がしたから。
曖昧な、確証もない理由だ。
指令車両から降りてきたこととこの警備、改めてガイドーだと思わせる。
「市民諸君、どうか足を止めないでいただきたい。これは訓練だが、実戦も想定してのこと。諸君の身の安全を守るためにも、無知蒙昧な共和主義者共を捕えるためにも必要な訓練である」
急に始まった演説に、市民たちは踵を返して従う。まるで市民一人ひとりが軍隊のように統制の取れた動きをする。
確かに帝国には兵役があり、この星の住民たちの内何割かが、ガイドーの指揮下に入ったことのある者たちだろう。
「諸君はすでに知っての通り、今朝何者かが衛星軌道艦隊の防衛圏を突破してこの星にやってきた。いまだにその消息は掴めていないが、狙いはこの都市であるのは想像に難くない。よって、市民一人一人の行動が、この街の安全に繋がることを思い出してほしい」
ゆっくりと移動し始めた車両から、ガイドーはまた演説を続ける。
彼の姿は遠ざかり、背中を向けて離れていく。
「よく我慢したね。フィオガ」
ぎゅっと、右手をアナトの手が包み込む。ゆっくりと、きつく握りしめていた指が、彼女に解かれる。必死で食いしばった顎がいたいことに、今更気づいた。
〈それで、どうするのだ? ガイドーがいることは確認できた。奴がいればこの星の拡充計画はさらに進むだろう。我らとしてもそれは牽制しておきたいところではあるが、そなたの優先順位は?〉
『ガイドーを倒したい。でも、その前にあいつの持っているアクシャハラ・リアクターに関する情報を、破壊する』
それは個人で携帯しているようなものではないはずだ。どこかに研究所があって、そこで保管していると考えたほうがいい。
広域にデータを共有していないのは、アクシャハラ・リアクターの普及が進んでいない現状から見ても間違いない。ガイドーは、研究を独占するつもりなのだ。
『ガイドーの研究さえ止めれば、帝国はアクシャハラ・リアクターを使えない』
「なんか本格的なスパイミッションになってきたなぁ。ハンターナイトの領分超えてそう」
〈ハンターナイト……確か、連邦の傭兵稼業であったか?〉
帝国にも傭兵は存在するけれど、ハンターナイト教会のような元締め組織はない。
そもそも、連邦がスペースパイレーツと呼んでいる者たちのほとんどは帝国傭兵だ。稼ぎ方が帝国を相手にするか、連邦を相手にするかの違いだ。
〈ガイドーは最近傭兵を数多く星系内に駐留させているそうだ。そのため、惑星内の食料流通が増大しておっての。最近農地拡大が佐官になっておる〉
『ガッソーが捕まったことが報道されていたから、警戒しているのかもね』
「でも、これほど早く来るとは思ってなかったわ」
タウホチャー号の速度があって初めて実現できた急接近。
この機会を逃したくはない。
〈それで、何か具体的な作戦はあるのか?〉
ルミスの言葉に、ボクらは顔を見合わせて、俯いた。
すると、彼女の口から特大のため息が零れた。
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