第二十四話「古の箱舟」.1
クワハウの遺跡の隠し扉の先に進むと、今しがた通った扉は自動で閉まった。
最初からそこには何もなかったかのように元に戻り、ボクたちの前に伸びる廊下には、先ほどまではなかった遺跡本来の照明が点灯されていた。
『やっぱり予備動力が生きている。まだこの遺跡には何かあるんだ』
〈はは……言い出した側が言うのもなんであるが、本当にあるとはの〉
「いや、そこは確信持って行動してもらわないと」
〈仕方なかろう。正直、わらわたちは本物のクワハウの友に会うのは初めてなのだ〉
ルミスもこの状況には驚き、戸惑っていた。
彼女自身、アムリット・エンジンの保有者で、隠し通路に到達したことはあったはず。だが、それ以上の権限を持つアクシャハラ・リアクターによる解放には、興奮を隠せずにいた。
〈やはりアムリット・エンジンとて通過点にすぎぬということなのであろう。クワハウ文明の真なる力を知るには、アクシャハラ・リアクターの恩恵が必要になる〉
『でも、多分リアクターコアは残っていないんじゃないかな。この遺跡のメイン動力は、やっぱり停止しているわけだから』
「ヴァーグスに会った遺跡もそうだけど、やっぱり一遺跡一リアクターでいいのかしら」
地下方向に螺旋階段が続いていく。エレベーターもエスカレーターもない、原始的な空間をボクらは警戒しつつ降りていく。
地下遺跡よりさらに深い、下層空間へと辿り着いた。
『これを隠しておくための、スペースだったんだね』
「もしかして、これってそういうこと?」
〈我らはこのドヘネットCで生まれ、育ち、クワハウに見つけられたものかと思っておったが、違うのやもしれぬな〉
ボクたちが辿り着いた空間には、巨大な翼を持つ船が鎮座していた。戦闘機のような形に、球状船首を加えたような特殊な構造をした船だ。
そして見た目でもわかるくらいの、重火器が船体各所に存在していた。
「つまり――アルヴァスは戦艦に乗ってこの星まで移住してきたってこと?」
『もしかしたら、乗っていたのはクワハウと、アルヴァスの原始生物かもしれない。どちらにしろ、この船がクワハウ人のものであるのは間違いないよ』
【メインコンピュータにはアクセスできませんでしたが、システム構造はタウホチャー号と同一で、操作権限さえ獲得できれば私にも動かせますよ!】
さすがはホチャー、仕事が速い。
『大きいとは言っても、全長は連邦の標準戦艦と同じくらいか。運搬人数は、テラニアンだったら最大でも一万人ちょっとかな?』
〈これで今この星で過ごすアルヴァス全員の祖先が運ばれてきたとは思えぬが、わらわたちが星の外から来たのかもしれんと思わせるな〉
クワハウの残した宇宙戦艦。タウホチャー号もなかなかに高性能だが、あくまで銀河連邦規格と、武装規制に合わせたものだ。そうではないこの戦艦は、どれほどのものになるか。
「ね、ねぇ! この船の中、探検してみていい!? 大丈夫、勝手にとったりしないから」
隣にいる少女の守銭奴気質が、眼を覚ましたらしい。
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