第二十三話「帝国の人々」.3
「ところで、遺跡の中入れるの? スペースパイレーツが発掘したっていうのなら、封鎖されているんじゃない?」
アナトの指摘に、ルミスは大丈夫と首を縦に振る。
〈それが、発掘は終わったと現在一般公開中でな。貴重な観光資源だそうで〉
『遺跡の使い道って言ったら、関係者以外にはそうだよね』
クワハウの友たちにとっては、先祖に残された遺物。考古学者にとっては貴重な研究史料。だがそれ以外のヒトにとって、遺跡はただの観光地でしかない。
スペースパイレーツが発掘できた範囲がどれほどのものか。
『アムリット・エンジンに反応した扉があったんだよね』
〈うむ。特定のエネルギーに反応するシールドゲートがあってな。通常の視認装置ではまず発見不可能。発見したとしてシールドゲートをくぐることができねば、奥へは進めん〉
スペースパイレーツには、そこに空間があることすら、認識していないとのこと。
『一つ、ずっと疑問だったことに、答えが出そうな気がした』
「何かあったの?」
『スペースパイレーツがこれだけクワハウの技術の習得に固執して、リアクターコアまで盗んでいるのに、クワハウ人本人を見つけたり、住んでいたb-Anのような惑星にまで到達できなかったのって、その技術の応用なのかな』
それこそ、星一つをステルスで覆ってしまうような。
『ボクは同じクロビアン人であるガッソーに苦戦した。そしてガッソーは、ガイドーは自分よりも強いと言ってた。なら、レイガハナの強化が必要になる』
「ガイドーの艦隊を抑えることも考えなくちゃね」
ただ戦って勝つ、だけでは終わりそうにはない。相手はスペースパイレーツである以上に、帝国の提督。連邦と戦う艦隊の艦長だ。決して楽に勝てる相手ではない。
〈我らアルヴァスは、クワハウの友にはなるべく力を貸してやりたい。だが限界はある。特に宇宙船など、持っておらぬしな〉
『さすがに艦隊を相手に殴り合うつもりはないかな』
「物量も火力も全然違うものね」
『アクハト一つじゃ、できることはたかが知れてる』
レイハガナは強い。だがそれはあくまで地上における戦力としての話。ガッソーやガイドーのようなクロビアン人と戦うには適した武器かもしれない。けれど、これは地上に限った戦いじゃない。
むしろ本番は、星の外、宇宙空間で行われる。
『居住惑星の近くを、戦場にはしたくない』
「そうね。戦艦の残骸は、漂うだけで十分脅威になるし、なにより地表に落下するのも避けたいものね」
銀河で最強のハンターナイトにでもなれれば、こんなに悩む必要はないのだろうけれど。
なにより、ただの復讐者でいられれば、もっと楽だったかもしれない。
けれど、そうじゃない道を選んだのは、クワハウの友としての矜持であった。
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