第二十二話「都市を目指して」.3
道路を走っていると、どこへ向かう小さなトラックとすれ違う。
煙草をふかしたおじいさんが一人で運転し、トロトロと鳥が止まりそうな勢いで走っていた。大量のワラを積んだ後ろには、孫なのか子どもが一人乗っている。すれ違いざまに手を振ってきたところに、ボクが振り返す。
湿り切っていた風が、少しだけ渇きを帯びてきた。
『穏やかな場所だね』
〈この星に工業地帯はほぼないからの。他の植民惑星について少し知る機会があったが、あれは酷い。ヒトの住める大気ではなかろう〉
「ま、あれは最初からそうなっても大丈夫な星を選定してやってるから」
きっとヴァーグスの大気といい勝負だっただろう。一方で、このドヘネットCはずいぶんきれいだ。辺境ということもあって輸送コストが高すぎる工業製品の製造はできない。代わりに大量に生産し、運搬できる食料品や衣類などの生産が盛んになった。
その結果、完全に惑星内で自給自足して生きていける。もちろん、工業製品に関してはある程度輸入しているようだが。
「確かにこれを見て、全部ぶっ飛ばせ! なんて過激派将校みたいなこと言えないわよね」
〈それを理解してほしくて、こんな遠回りなことをさせてもらった〉
『ボクらも街に行く予定だったから、問題はないよ』
ガイドーが今この星にいるのか。それともニアミスでどこか別の場所へ行ってしまったのか。まずそこを確かめないといけない。
『連邦と帝国の戦争に、正直関わりたいわけではないんだけどね』
ハンターナイトは、基本的に連邦側の組織だ。必要になれば連邦自身が依頼を出し、時には帝国との戦争にも投入されるらしい。
そうなれば、平穏は一瞬で砕け散る。
ボクの乗っていた船のように。
〈スペースパイレーツの提督を探しているのだったか。わらわたちも、あの海賊のことはよく知らぬ。だが危険な存在であるのは確かであろう〉
「見たことあるの?」
〈奴らの住む土地、あそこにはもともと大きなクワハウの遺跡があった。奴らはそこを根城にし、発掘し、アクシャハラ・リアクターの光を手にし始めた〉
『アクシャハラ・リアクターの原型機を発掘できたんだ。リアクターコアと、アンブロス・ジェネレーター技術の応用でエネルギーを取り出すことはできる。
未完成のリアクターコアがあっても、そこからエネルギーを取り出す術をどうやってこの十年程度で手に入れたのかがわからなかった。
その答えは、この星にあった。
〈クワハウの友足りえぬ者たちが、クワハウの力を手にした。クワハウの友としては、あまり喜ばしいことではないな〉
『大丈夫。あいつらがアクシャハラの力を利用して戦うより前に、ボクが止める』
〈頼もしいことではあるが、あまり無理をするな。せっかく出会えた友なのだ〉
そうして話しているうちに、ボクらは都市の外周部まで到達した。
少しでも気に入っていただけたら幸いです。
評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。




