第二十一話「森の民」.2
ドヘネットCの原住民アルヴァス。
その容姿に驚きをしかない。ボクたちテラニアンによく似ているが、外見に差異がある。
頭の横から生えた一対の翼。耳のようにも見えるそれは、小さく決して飛べるようなものではない。けれど風に揺れる翼は、どこか神秘的に見える。
その色は緑。森の中に溶け込むための色が、熟練の狩人に思わせた。
背丈はボクらと変わらない彼女は、しかし力強さを感じる指を差し出してきた。
〈これはそなたらテラニアンの習慣だったか。友好の証であろう〉
『そうだね。初めましてルミス。改めて、クワハウの友に出会えたことに、感謝を』
ボクはルミスの差し出した手を取る。しっかり握手を交わせば、周りのアルヴァス人たちも警戒を解いたらしい。各々構えていた弓や槍を降ろし、フードを外した。
やはり同じように、こめかみの翼を持っていた。
「うわぁ……本物の翼? 伝承のエルフみたいに見えるけど」
【おそらくはこの星の住民たちの存在が、クワハウから各地に伝わり、亜人伝承を作り上げたのでしょう】
『エルフ?』
アナトが何かに感動している。ホチャーはその理由を理解したようだ。
〈帝国人もよくその言葉を口にしておった。何でも、テラニアンの伝承にあるそうだ。わらわたちのような森で暮らす民を、そう呼ぶらしい。この頭羽が珍しくてな。一度は友好を示したかと思えば、奴らはその手を跳ねた〉
『帝国とは、敵対状態なの?』
〈はじめはな。だが森を開き、遺跡を荒し、連邦と戦うためと我らの技術を欲した。クワハウより託されたものを、奴らに利用させるわけにはいかん。ゆえに我らは森を全て包み込み、罠を張るようになった〉
クワハウは、かつての文明最盛期。宇宙全土を支配せんとする勢いで他の惑星を侵略した。その過程で滅ぼした文明も、吸収した文明もある。
帝国の姿は、かつてのクワハウに似ている部分がある。
――間違いを知るには失敗するしかない。私たちクワハウは、それを知るまでにずいぶんと時間がかかってしまった。
昔、クワハウのことを少しだけ教えてもらった時、コンゴーはそう言っていた。今連邦も帝国も、失敗を学ぶ時期なのだと。
『帝国にクワハウの施しが奪われた。ボクはそれを取り戻すために、ここまで来た』
〈最近、帝国の奴らが突然アクシャハラの力を手にしたのは、そういうことか。アムリット・エンジンすらまともに持たぬ者たちが、なぜ突然と思っておったが〉
アルヴァスの民も、アクシャハラ・リアクターの脅威に晒されてしまった。なおさら、ガイドーからリアクターコアを取り戻さないといけない。
そして、彼女らへの脅威を取り除かなければいけない。
〈立ち話もなんだ。我が屋敷にまいられよ〉
ルミスからの誘いを受け、ボクたちは森の中へと足を踏み入れた。
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