第二十一話「森の民」.1
広大な宇宙空間から一転。
うっそうと茂る青々とした森の中に、ボクらは降り立った。
『誰かいるなら、出てきてくれないか?』
「アタシたち、敵対したいわけじゃないんです!」
両手を上げ、連邦標準語、帝国標準語、他にもクワハウやクロビアン、とにかくわかる言語でこちらに敵対の意志はないことを伝える。
お互いに不可侵であるという条約を立てているのなら、帝国標準語が最低限伝わるはず。そうでなくても、いずれかの種族言語が伝わってほしい。
〈そなたは、クワハウからの使者か〉
――え?
「い、今の言葉何? どの言葉?」
【……フリーズ解除。アナト、翻訳します。フィオガ、対応を】
『わかった』
ボク自身、呆気に取られていた。
何せ、一番伝わらないだろうと思ってダメ元で示した言語が返ってきた。
『初めまして。クワハウの友。ボクはテラニアンのフィオガ。クワハウに育てられた者』
〈久しく出会うクワハウの友よ。我らはアルヴァス。かつてクワハウの恩寵を賜りし者〉
森の中から、フードを被った者たちが現れた。それぞれの手に握ったコンパウンドボウやスピアの野性味に対し、各種センサーはまぎれもない高度文明の痕跡を発見する。
アクシャハラ・リアクターではない。
だが、アンブロス・ジェネレーターでもない。
『アムリット・エンジンを持つ友よ。我らはアクシャハラの恩恵を賜りてこの地に来た』
〈沈黙する友よ。それは真か。失われしクワハウの技術を、そなたらは有するのか〉
「フィオガ、大丈夫なの?」
アルヴァスと名乗った者たちと対話しながら、ボクはアナトに大丈夫と手信号を返す。
胸部を叩き、体表にアクシャハラ・フィールドを展開した。
〈紫の光、帝国の次元重力波とは違う、本物の波長だ!〉
〈本物のクワハウの友が来たぞ!〉
何かに喜んだ時、大きな声が上がるのはあらゆる言語、文明で変わらない。
森の中には予想以上に多くの者たちがいて、武器や観測機を持ってこちらを見ていた。
『信じてもらえただろうか』
〈我々も困惑している。もう長いこと、クワハウの、もっとも古き言葉を操る者が、この地を訪れることはなかったゆえに〉
少し、口調の軽い者が現れた。
何となく、この地の住民の中では地位が高そうに思えた。
〈時折帝国の怖いもの知らずが降りてくることはあったが、そもそも我らの存在に気づかぬことさえあった。であるが、まさかクワハウの友が降りてくるとは思わなかった〉
『ボクも、まだクワハウの名残を受け継ぐ人がいるとは思ってなかった』
〈沈黙する友よ。名を聞かせてくれるか?〉
『惑星b-Anのコンゴーに育てられたテラニアン、フィオガだよ』
〈わらわはアルヴァスのルミス。この地の狩人たちのまとめ役を担っている〉
フードを外したアルヴァスのルミスは、その顔をボクたちに見せた。
〈よろしくな。クワハウの友、フィオガ〉
そう言った彼女は微笑んだ。
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