第二十話「銀河の果て」.4
成層圏を抜けて対流圏へ。
高度を地上数千メートルに落とし、ドヘネットCを見渡した。
辺境惑星とは思えないほどに緑に覆われた大地。これが元から植物多様だったというのは、情報にあった先住民たちの存在を気にさせる。
「アタシもさ、地球にはいったことないんだけど」
『ボクもない』
「多分、地球もこんな感じなのか」
緑の大地と、青い海。
茶色の荒野が広がるヴァーグスに比べれば、何とも美しい光景だ。
「森の中の空き地があるよ。あそこに着陸しよう」
『ホチャー、周辺に探索ビーコンを配布。帝国軍の駐屯基地、民間の住居問わず、目撃者の可能性を潰しておきたい』
【了解しました。四方へ向けて探索ビーコンを射出。周辺地域の探索を開始します】
森、草原、河川、山、谷――人間の手が入っていない、原生自然。この星が辺境にあったのは、ひとえにその距離のせいだ。
あまりにも連邦の中心から離れていて、帝国との境目に近い。しかも最前線となる星域からはまた遠い。どうあがいても発展するのに有益な位地ではない。
この先数世紀後に恒星間距離が変わった時は、一大流通拠点として発展する可能性はあるようだが、ずいぶん先の話。
「着陸態勢、土壌重量限界を確認。地中内に空洞確認できず。周辺に大型生命反応なし……これだけ生い茂った森の中にぽっかり空いた地形って、なんか変ね」
『気を付けて。この広場、人為的なものに思えてきた』
この星に住むと言う、原住民。
その情報はあまりにも少ない。どこに住み、どんな種族がいるのか。ただ帝国が森林地帯の一部に不可侵命令を出し、それが現在も続いているということ。
【それについてですが、フィオガ、少し気になることが】
『どうかした?』
【この区域から少し離れた、山の向こうですが、複数の車両痕を確認しました。森の中に切り開いた道があり、タイヤの大きさと感覚から見て、帝国の軍用車両かと思われます】
『どうやら、あまり融和政策はうまくいかなかったようだね』
山の向こう側が険悪な状況だったとしたら、こちらの場合はどうなるか。
山と川を挟んで対応が全く違っていた? この土地は帝国とうまくいっているのだろう。もしもそうではなく、まだ帝国が足を踏み入れていないだけだとしたら。
「あー、フィオガ、ホチャー、ちょっと窓の外見てもらってもいい?」
『遅かったかな』
【驚きました。突然生体反応を感知。どうやらこの場所は、いえ、正確にはこの場所以外が、高度なステルスフィールドに覆われているようです。この場所だけがフィールド外のようです】
直後、周囲を詳細スキャンしたホチャーのデータが送られてくる。この空き地は、空から来たものを誘い込む罠。船を囲むように凶悪な武器が並んでいる。
『どうする?』
「どうしようね」
【どうしましょうか】
攻撃は効かない。アクシャハラ・フィールドを突破できるような武器ではなさそうだ。
ただ、ここで引きこもって居たら、もっと悪い結果を生み出すだろうと、ボクらは判断した。
『行ってくるね』
「船を頼むわよ、ホチャー」
ボクらは一緒に船を降りて、周りで取り囲む誰かの前に立った。
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