第二十話「銀河の果て」.2
惑星ドヘネットC。
同名の恒星の第三惑星は、生命居住可能領域に存在する。
この恒星系では、唯一の自然居住惑星だ。
最初こそスペースパイレーツの進駐と拠点設置が行われた程度で、生産性の欠片もない惑星だった。それを帝国軍が接収、移民の大量移住によって、帝国が実質支配した状態になった。
「居住している帝国市民は多いの?」
『みたいだね。主要産業は農業、牧畜、鉱山、服飾。典型的な植民惑星だと思う』
紛れ込むことは容易だ。少なくとも、周りの市民全員と戦わなくてはいけないなんてことはないはず。
治安の良し悪しで言ったら、もしかしたらヴァーグスよりいいかもしれない。
あそこはコンゴーの映画で見た西部劇とやらによく似ている。
『ステルス状態で防衛権に突入。大気圏を突破したら郊外に着陸。そこからは地上移動だね』
「モノホイール持って来ておいてよかったわ。ヴァーグスは結構乾燥した土地だったから走るのが簡単だったけど、この星は大変そうね」
『植物は結構多様に存在しているみたいだ。もともとは多湿の環境ではあるけれど、帝国から移植された植物とも親和性が高かったみたいで、都市周辺は穀倉地帯だ』
ガントレットから投影した映像をスライドさせながら、ドヘネットCの予習をする。
治安は安定しているが、やはり帝国と連邦の境界線となる惑星。決して安心安全な生活ができるわけではない。それに、ここがお互いの亡命・逆亡命の玄関口でもあるらしい。
「案外簡単に滞在できそうね」
『ちょうど、防衛圏ギリギリに辿り着いた。ステルスモードに移行するよ』
「よし、じゃあ操縦は任せて!」
指を鳴らしたアナトは操縦桿を握りしめる。
量子観測に帝国艦隊を捉えた。防衛はさほど厚くない。突破は簡単だろうし、ステルスフィールドを展開している以上、質量観測ができなければばれはしない。
帝国と連邦のステルス技術に関して、あまり差はないらしい。クワハウからしてみればという話ではあるので、実際は世代差があるかもしれないが、タウホチャー号にとっては問題ない範囲だ。
【あ、これはあまりよくないかもしれません】
『どうしたの?』
「何か問題が起きた?」
ホチャーの様子が変だ。何かを観測したんか、しきりに計器が明滅する。
【どうやら、相手側に次元重力波を感知されたようです】
「具体的に」
【アクシャハラ・リアクターのエネルギーを発見されました。ロックオン警告!】
直後、艦内に警告音が鳴り響く。
『防御態勢!』
【フィールド圧力増大。対艦戦闘態勢!】
アンブロス・ジェネレーターから供給された超高インパルスプラズマ弾頭が、漆黒の宇宙を引き裂いて迫りくる。
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