↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
64/123

第十九話「大気を超えて」.1



 ハンターナイト教会ヴァーグス支部の庭では、子どもたちの声が響いていた。

 中央に広げられた金網の上で踊る食材たち。

 その傍らで、ボクは串を頬張る。


『ありがとうね。ヤージ、キッハー、急に呼び出して、急に来てくれて』

「いえいえ、フィオガさんとマザーの頼みとあっては」

「断るのは恥知らずってもんでさ!」


 以前ちょっとした諍いを起こした二人だけど、やはりマザーの教え子らしい。

 遊びまわる子どもたちの相手をして、用意された食材を手際よく金網の上へと放っていた。


「フィオガさん、ヴァーグスを出ていかれるんですって?」

『うん。もともとヒトを探してここに来ただけだから。目的を達成できたら、出ていくつもりだったから』


 何より、ここでは生体調整用の薬品や機材が手に入らない。

 ストックはあると言っても、いつまでも持つわけじゃない。そのうち補給しないと、体が動かなくなる。

 特に下半身は、まだアシストなしでは動かない。


「ああ、で、フィオガさんから連絡があった、マフィアの動きですがね、取引の件でいくつか話があります」

『速いね、さすが』

「光栄っす。で、えっと。マンゾー一家との取引以外にも、複数件の取引が確認できやした。マンゾー一家のようにリアクターコア、でしたね。あれを受け取っている件が一件。他は手持ちコンテナ大のものを受け取ったのが二件です」

『そっか。じゃあリアクターコアは、この星にあともう一つあるわけなんだ』

「ですが、すでにプブリッコ一家が攻め入りましてね。その品を、こちらに」


 マフィア同士の抗争、と人の目には映るかもしれないけれど、実際はマザーの人徳によるところが大きい。

 キッハーが渡してくれたリアクターコアを見ると、マンゾー一家の下に送られたものより更に、低品質なものだった。

 これでは、ボクや遺跡にあったコアの五十分の一の性能も発揮できないだろう。


『ありがとう。これはボクが管理しておくよ』

「お願いします。いやぁしかし、フィオガさんが来てからマザーの気分がよくて助かります」

『いつもは悪いの?』

「いつもというより、ここ最近は特に。スペースパイレーツの動きが増加し、マフィアたちが活発になり、最近はずいぶんと苛立っていた」

「アナトちゃんが宝石で一儲けなんて考えたのも、マザーを慮ってのことさ」


 グラフが妙に協力的なのも、そのせいだったようだ。

 彼女がこの星の多くの人々に慕われる母であるのは間違いない。

 アナトが踏ん切りをつけられなかったのも、マザーを心配してのことだっただろう。


『でも、これで憂いはなくなった』

「そうよ。ありがとう、フィオガちゃん」

『マザー』


 彼女の手が再びボクの頭を撫でる。

 ここに来てよかった。

 アナトと出会え、マザーに褒められ、奴の手掛かりを見つけることができた。


『ボクこそ、ありがとう』



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。