表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
62/123

第十八話「発進準備」.3


 その言葉は、自分の秘密を打ち明けた時、逆に心配されてこう返した。

 今は、もっと多くの意味を含んでいる。


『君が本当に望んでいるのなら、ボクもマザーもそれを尊重するけど、無理をしてほしくないだけだよ』

「フィオガ……」

『君が望むことに、少しでも手を貸したいと思うのは、友達として変かな』

「友達……か。うん、フィオガはまだ、そうだよね」


 彼女の肩の力が抜けた。ふと、ホチャーの言葉を思い出す。

 多少強引な方が乙女心はなんとか。


「あのね、フィオガ」

『――アナト、答えを聞く前に、一ついい?』

「え? うん」


 彼女に答えを促す前に、まずボク自身が何を望んでいるのか示さないと。彼女の言葉だけを聞いているは、きっとフェアじゃない。


『改めていうけど、ボクと一緒に来てほしい。ハンターナイト稼業で、危険で、大変だと思うけれど。それでも、君と一緒に旅をしたい』


 務めて丁寧な言葉で、はっきりとした内容で、彼女に伝える。

 改めて協力を申し出るのは気恥ずかしいけれど、ボクの願いは伝わったはず。


『答えを聞かせてほしい。君はどうしたい』

「ちょっと、それは卑怯だよ」

『え?』

【タイミング悪いですよ、フィオガ】

『君がそうしろって言っていたじゃないか?』


 AIからの苦言に困惑する。何が問題だったのか。

 アナトに視線を戻すと、彼女はため息をついてから、少し微笑んだ。


「アタシは行くよ。宇宙に出る。ずっと夢見てたことなんだもの」

『わかった。マザーには――』

「一緒に言いに行きましょう。あなたの勝利記念と、娘の独り立ち記念なんだから。きっといつも以上に、喜んでくれるわ」


 かつては、マザーもハンターナイトとして活躍していたんだと思う。

 ならば、宇宙の厳しさもよく知っているはず。けれど反対はしないと思う。彼女は、アナトが望む道を進むのなら、歓迎してくれるはずだ。

 たとえその道半ばで倒れても、行くべき道を進んだと称えてくれる。

 もちろん、ボクがそんなことは起こさせない。


『マザーにもちゃんと伝えたいことがあるんだ。グラフやあの酒場の店主さんにも、あいさつしたいし。ちょっと時間かかるけど、いい?』

「もちろん。ていうか、お世話になり度ならアタシのほうが圧倒的に長いんだから、あいさつ回りしたいのはアタシのほうだよ」


 そうなると、他にもボクが知らない彼女の知り合いが多そうだ。


『ホチャー、彼女のモノホイールを詰め込んだり、部屋を区分けするのに船を改造したりで、どれくらいかかる?』

【ご心配なく。あなたが使っていないだけで空き部屋はありますし、レイハガナ整備用のデッキにスペースがあるので、そこに置いておけば大丈夫です。もしもの時は内部構造を改築するので、その時は三日ほど】

『じゃあ、最長三日の待機だね。アナト、まずはマザーに話をつけようか』

「うん。ついでに手伝いましょう。三人でやったほうが、ご飯まで速いからね!」


 当面の目的地を定めるものはない。それでも、二人で一緒に行くことだけは決まっている。

 どこへ行き、何をするのか。この三日間で決まるかもしれないし、決まらないかもしれない。


「あー、あいさつ回りって、なおさらなんか結婚でもするみたいな雰囲気出てきたなぁ」

『フィオガ、行かないの?』

「あ、うん、行く、すぐ行く」


 なかなか机から立ち上がらなかった彼女に呼びかけてから、ボクらはキッチンへ向かった。



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ