第十八話「発進準備」.2
大量に買い込んだ食材を、マザーが楽しげに調理する一方で、ボクとアナトはこれからのことについて、きちんと計画を立てることにした。
『まずは、スペースパイレーツのガイドーを追う。父さんたちのリアクターコアを持っているのは、そいつのはずだよ』
「この星にはいないみたいだから、必然的にあなたの船で追いかけることになるわね」
『どこにいるかまでは、ガッソーも知らなかった。多分、いろんな星を回りつつ、この星で集まった情報と見比べていくことになると思う』
【ガイドーがこの星にくれば、その時はとんぼ返りですね】
問題は、その情報がいつ上がってくるか。ボクは奴と戦える日を、十年――クワハウ時間で七年待った。今更一年や二年待つことに苦はない。
『アナトはどうする? 本当に一緒に宇宙に来る?』
「……その返事も、しないとね」
『君のリアクターコアを、この星のマフィアたちがまだ狙っているかもしれない。奴らがまだリアクターエネルギーを確保しているかもしれない。その危険性だけは、残ってる』
もともとこの星で全てが完結するとは思っていなかった。ただその中で被害を受ける人たちがいる。
その責任が、両親にあるわけではない。けれど、二人が目指した平和のための力が、誰かを傷つけることだけはあっちゃいけない。
「フィオガがリアクターコアのことで罪悪感、感じているとかだったら絶対に無理しなくていいからね。というか、そんな理由で助けられても、気まずいだけだから」
『アナトは、そうじゃないの?』
「え……」
『君がここに残ろうとする理由は、マザーにない? あのヒトは、たぶん君に心配されていても、嬉しいかもしれないけど、喜べないと思うよ』
心配してもらうのは、誰かに大切にされている証拠だ。けれど、自立したいときや、一人前と認めてもらいたいとき、嬉しい反面喜べない。
アナトの自由な心を押し止めているのは、マザーへの感謝と優しさだ。
「いやいや、アタシはただ安定した生き方をしたいだけっていうか、そんなスペースパイレーツとドンパチするほどの度胸はないだけで」
『自分でモノホイール操縦してパイレーツの拠点まで突っ込んだくせに?』
「む」
『それに、最初に宇宙へ一緒に行こうって書いたときも、書いたよね』
ガントレットに書いた言葉は、全て記録に残っている。時間を遡り、その時の言葉を取り出した。
『ボクは君を信じてるから』
その言葉に、変わりはない。
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