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第十六話「星の戦士」.4


 高揚感と冷静さ。戦いにかける意識と、周りへの注意。敵にばかり目が向かず、広く戦闘を見ているような気分になれた。

 これまで出続けていた脳内物質の恩恵もあるだろうけれど、少しだけ戦士として成長できたのかもしれない。

 この光の鎧(レイハガナ)を纏うのにふさわしい存在に、ほんの少し近づけたのだと思える。アナトを離し、ガッソーに相対する。


『帝国は、アクシャハラ・リアクターを手に入れた何がしたいの』

「さぁな。帝国やあいつが、どうして俺たちスペースパイレーツの下っ端や、ヴァーグスのマフィアたちにリアクターエネルギーを流しているのかは、理由はしらん。どうせエネルギー利用実験だろう」

『体のいい実験兵器を使わされていて、それでいいのか』

「俺たちは海賊だ。その場その場にあるものでしか、食いつないでいけない貧乏性でな!」


 アクシャハラ・フィールドを纏った者同士の戦いは、距離が近づくにつれて殴り合いの面が強くなる。ブレード、パイルを狙った攻撃はカウンターを貰いやすく、射撃兵装はフィールドの反発作用で近距離では自爆の可能性が高まってしまう。

 取っ組み合いを嫌ったガッソーだけど、殴り合いには応じるようだった。


「お前は、そんな性格でハンターナイトやっていけるのか、ええ? テラリアン!」

『あんたに、心配されることじゃない!』

「ならお前も俺たちを心配してんじゃねぇよ。紳士には金が必要だがな、海賊に必要なのは自由を謳歌するプライドだ!」


 体の回転とともに放たれた尻尾が、レイハガナを弾き飛ばす。

 やはり、軽くなった分格闘能力は若干低下していた。


「俺たちは自由の象徴! それがカタギの奴らに心配されたなんてあっちゃぁ、名折れよ。テメェもテメェでハンターナイトらしく、容赦なくかかってこいっつぅんだよ!」

『紳士であるより、海賊であることを選ぶんだね』


 それが、彼なりのプライドなんだ。

 仲間を売らない。敵に縋らない。自由を与えられない、奪い取る。


『連邦政府が、絶対的な正義だなんて思ったことはない』


 むしろ、両親を帝国に売った奴らがいる組織。全面的に信用できる理由なんてない。

 だから、連邦と帝国――どちらに付くかを選ぶときに帝国に付く人がいてもおかしくはない。


「ま、そうでなきゃ連邦軍か連邦警察にでも所属しているだろうよ」

『そっちにはそっちなりの都合があるとは思う。だけど帝国は止めさせてもらう。あんたたち自由を謳歌しようとするのなら、それを止めるのが、ボクなんだ』


 ハンターナイトとしての矜持はもちろん。

 クワハウ人の力を持つ者として、アクシャハラ・リアクターを悪用させるわけにはいかない。


「まるで、物語に出てくるクワハウの伝説の戦士のようだな」

『物語?』

「宇宙にいくつもの伝説を残してきたクワハウは、いつしか星間国家の間で語り継がれるようになってきた」

『ずいぶん迷信的だね』

「それだけ、多くの者たちは、どうにもならない瞬間に求めてきたのさ、星の戦士たち――光の鎧をまとう者を」


 無慈悲なる悪意が命を奪うとき、彼らはやってくる。クワハウだけではない。古代文明の力を持つ誰かが、誰かを助ける


 ――星、戦士。

『なら、最初の仕事は片付けないとね』


 ギギギギ、と音を立てて右腕のパイルが下がる。アクシャハラ・フィールドを集中し、対フィールド貫通力を高めていく。


「どうやら、このリアクターを手に入れたのは、あまり幸運な出来事じゃなかったらしいな」

『機会があったら他の海賊たちに伝えてよ。現代に、クワハウの星の戦士がいるって』

「ああ、機会が――」


 音を置き去りにする加速とともに、近接突撃破杭拳(パイルストライカー)が弾けた。




少しでも気に入っていただけたら幸いです。




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