第十六話「星の戦士」.2
フィオガのアーマーガンナーの目が、黄金の光を放った。
目――と言っても正確にはあのビームの発射口なのだけど、そこにある光学センサーが、光を放ったように見えた。
まるで、内側に溜め込んでいた光が、溢れ出しているかのようだ。
「フィオガ、構わないで……」
「おいおい、本気かよ」
クロビアン人の顔が歪んだ。恐怖にひきつった顔が私の顔から逸れる。
私たちの視線は、フィオガのアーマーガンナーに注がれていた。
「ホチャー、フィオガは!?」
【意識健在、戦闘衝動増大。エンドルフィン放出、反応速度上昇……でも!】
戦場に飲まれている。多くの兵士やハンターたちでも、戦いの中で理性を失う。今のフィオガがそうであるように、その激しい情動に支配されてしまうと言う。
マザー・コーエンも、昔似たようなことを経験したという。
だから若いハンターナイトたちを、あの人は気遣ってくれる。自分と同じことを起こしてほしくないと、あの人はみんなを心配している。
「おいおいおい、なんか雰囲気違うぞ……」
クロビアン人もフィオガの変化におののいている。
彼らは私たち人間よりも、野生の本能と呼ばれるものや、危機感知能力が高い。だからわかるんだ。
今私たちの前に立っているフィオガは、危険だって。
『高速重突撃戦闘態勢』
光の奥に、わずかに文字が流れたのが見えた。アクシャハラ・リアクター特有の紫の光が、頭部から溢れ出す。
その背中からは同じ光が羽のように溢れ出す。攻撃、防御、推力、あらゆる動力に使われている。
その全てが、宇宙最高水準。
「やらせるかよ!」
「――ッ!」
突撃するフィオガ、私を抱えたままでは耐えられないと判断したのか、クロビアン人は私を投げ捨てた。盾にするという選択肢もあったはずなのに、それを選ばなかった。
多分、それじゃあ止められないと思ったんだろう。
突き出される右拳。それをクロビアン人は真っ向から受け止めた。殴りつけてきたフィオガの右腕に装備されたパイルに弾かれながら、体勢を崩さない。
「気を付けてフィオガ! そいつ、アーマーガンナーなしでもめちゃくちゃ強い奴だよ!」
機械の音か、フィオガの声か。どっちかわからない叫びが聞こえてきた。高出力のエネルギーがアーマーガンナーの中で唸り上げる。
私の声が届いているのかどうかわからない。ただ呼びかけないと。フィオガを獣にしちゃいけない。
『アクハト、発射』
クマの咆哮に似た叫びがした直後。光の奔流がアタシの前を突き抜けた。
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