第十四話「同じ土俵で」.2
アナトが離れたのを確認すると、ジェットを全開に走り出す。どっしり構えたガッソーは、拳を握って迎え撃つような姿勢をとる。なら、もう一度腹にパイルをお見舞いする。
『今度は撃ち抜く!』
「させるかよ」
突き出した拳を、ガッソーは腕で包み込むようにして止めると、流れるようにしてボクを放り投げる。アクシャハラ・リアクター云々じゃない。
単純な機械戦闘術で、こちらを抑え込みにきた。ふわりと空を舞った体は、姿勢制御もできず地面に激突した。
「――ヴッ!?」
「んん~? うめき声くらいは上がるんだなぁ。いや、そもそも酸素が漏れただけか?」
「――ッ! ポフッ……」
クワハウ式戦闘術は教わってきた。いや、教わったと言うより、映像記録を何時間と眺め、仮想空間シミュレーションをこなしてきただけ。
実戦経験は、ヴァーグスに来る前と、着た直後。どれも、レイハガナの能力で圧倒できた。同じ立場に立った相手と戦った経験は、ない。
――機体出力はこっちの方が上。だから力比べじゃなくて技で対応してきた。
「驚いたか? 今の動きはアーマー・リペル・マーシャル・スタイル。通称ARMS。お前のようなアーマーガンナーの性能に頼り切った奴を叩きのめすための技術だ」
――対アーマーガンナー撃退技術……知ってはいたけど。
『体格的問題から、結果的にアーマーガンナーを着込んでいなきゃ使えないって話じゃ』
「地球人種ならそうだろう。だがな、俺たちクロビアンは強靭な肉体と、硬い鱗、恵まれた体躯! 生身では宇宙最強の種族と豪語している俺たちにはうってつけさ」
嘗めていたのはお互い様だ。パイルを腹に撃ち込まれたことで、ガッソーは油断を捨て去った。ボク自身も、油断も慢心も捨て去らないといけない。
『高速重突撃戦闘態勢、移行』
【照準アシスト生成。マーカーロック、行けます!】
「気を付けてね、フィオガ!」
アナトの声援を受けながら右腕を突き出す。
今度は拳じゃない、装甲内のミサイルを三連射する。アクシャハラ・フィールドは銃弾の衝撃を受け止め弾く。けれど、継続的に推力を発するミサイルは受け止め続けるとフィールドを抜けられてしまう。
だからフィールドの圧力を高めてミサイルそのものを破壊する必要がある。
その時、フィールドには一瞬の歪みと隙間ができる。
――アクハト、発射用意。
アクシャハラ・フィールドでなければ、異次元エネルギーを直接叩きつけるアクハトは防げない。けれど、今のガッソーの防御力なら、ほんの少しの衝撃を与えた状態なら確実に撃ち抜ける。
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