第十四話「同じ土俵で」.1
開かれた扉の先にあったのは、紫の光を放つ光源。
アクシャハラ・リアクター、古代人の作り出した初期型であろうか。中心で爛々と輝く紫色の宝石。アナトは自分の懐から取り出したそれと見比べる。
「確かに、こっちのほうがなんだか光が弱いね。こっちは、すごくきらきらしてる」
『本物のアクシャハラ・リアクターだからね』
ボクはレイハガナのハッチを開けると、足場代わりになった胸部パネルの中央を開く。
「わ、それが……」
『うん。僕のリアクターコア』
コンゴーから貰った、最新もの。
『アクシャハラ・リアクターとレイハガナを電子接続。リアクターコアロックを解除』
【確認しました。リアクター操作端末に物理接続します】
レイハガナがホチャーのコマンドに従って動くと、装置に手を触れる。先ほどは遠隔ではメインシステムに接続できなかったホチャーでも、直接触れれば問題ない。
『リアクターコアを外しさえすれば、あとは問題ないはずだ』
「確か、重要なのはリアクターそのものじゃなくて、そのコアなんだよね」
『鍵穴は何でもいい。でも鍵によって、それは第一世代か、第二世代か、第三世代かわかれるんだ』
これで遺跡のシステムは停止する。スペースパイレーツにもこの遺跡を発掘する価値はかなり低下する。そうでなくても有用なジャンクは転がっている。
クワハウの遺産、これ以上穢させない。
「へぇ、そいつがアクシャハラ・リアクターというやつかい」
――クロビアン人のガッソー。
【レーダーに反応微弱。アクシャハラ・フィールドの欺瞞機能まで使われています……】
「うーん、まさかクワハウ人の鎧の中にいたのが、地球人のお坊ちゃんとはなぁ。どうだ、ここは暴力ではなく話し合いで解決しよう」
『なんで』
「俺は紳士的なクロビアン人だって言っただろう? 暴力だけじゃ解決できねぇことも、言葉は解決できる」
本気だろうか。それともただ援軍を待つための時間稼ぎだろうか。
『ホチャー、コアの回収を』
【了解。現在リアクター内部にコアを二個確認】
コアをホチャーに託し、ボクはクロビアン人――ガッソーに向き直る。
『リアクターコアを渡すつもりも理由もない。さっさとここから出ていけ』
「どうやら喋らねぇのはスーツのせいってわけじゃあねぇらしい。お前みたいなガキに何があったかを聞くほど野暮じゃねえ」
『帰ってほしいだけなんだけど』
「渡せとは言わねぇ。交換しよう」
こちらの表示する文字をあまり見てくれない。話が勝手に進む。
「クロビアン人と会うのは二度目だと言っていたな。一度目は誰だ? そいつについて知りたくはないか?」
『知りたいけど、それでリアクターコアを渡せるほど、これは安いものじゃない』
「……お前、奴が奪ったリアクターコアの関係者だな。だからこれほどにアクシャハラ・リアクターに精通し、そのオリジナルを発見できた」
よくそこまで判断できる。
逆に言えば、あのクロビアン人をよく知っているから、わかることもある。
『そこまで理解できたならわかるでしょう。あいつはどこだ』
「ダチを売っちまったら海賊に義理も仁義もありゃしねぇ。聞きたきゃ俺の死体に聞きな」
またニヒルな笑みを浮かべたクロビアン人は、自分の胸を叩く。体全体に紫色の光が広がっていく。少なくとも、ごく少量とは言えエネルギーの抽出実験に成功している。
まだ未完成だった父さんたちのリアクターコアから、アナトが盗み出したものはずいぶん完成に近づいていた。一足飛びに開発が進んだのは、間違いない。
そして、そのエネルギーをスペースパイレーツやマフィアを使って実証実験している。
『あんたを止める』
――レイハガナ、起動!
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