第十三話「敵対者」.2
ショックストリングを射出。電気を纏わせた状態で腕を振りかぶり、捕獲するために糸を伸ばす。
「この古代の遺物が!」
ガッソーの体に、紫の光が纏われた。ワニに似た姿で、バトルアーマーに身を包んだその巨体は、アーマーガンナーと同じくらいだ。背中から広がった光はフィールドを作り出し、糸に触れなかった。
『どうしてそのフィールドを』
「こいつはお前らの技術だろう。通常の光学防壁をはるかに超えるフィールド発生。全くえらい技術を残しておいてくれたものだな」
『それはお前らみたいなのが使うものじゃない』
「拾ったものをどう使うかは、俺たちの自由だろう!」
振り上げた奴の拳が、アーマーガンナーを突き飛ばす。アクシャハラ・フィールドの恩恵は防御力だけではない。その強靭な肉体を支える力になっている。
クロビアン人の横暴――海賊行為を留めきれないのは、単なる技術的問題だけではない。白兵戦において、彼らはこの宇宙でも無類の強さを誇る。
――それが、アクシャハラ・フィールドまで纏うなんて。
【敵戦力分析を三段階上昇。攻撃性能をこちらの格闘攻撃と同等に設定します】
『大丈夫。油断はもうしない』
レイハガナ――銀河最強の技術で造られた鎧が負けるはずはない。
負けるとしたら、それはボクの未熟さ故。
『こんなところで躓くつもりはない!』
【高速重突撃戦闘態勢、OS切り替え】
にやりと笑い牙を見せるガッソーへ、レイハガナを加速させた。
パワーは、こちらが勝っている。
取っ組み合い、ガッソーを押しつぶそうとする。それを嫌がったのか。腕を振りほどき後退される。
「ああくそっ! この新型リアクターの本家本元はクワハウって話はマジだったか! 変なもの掴まされた!」
『それを与えたのは誰だ。お前じゃない、クロビアン人の誰だ』
「……へっ、ご丁寧にどちらの誰さんがくれましたと俺が答えると思ってんなら、世間知らずすぎるぜクワハウ人!」
敵は右腕を向けてくると、その手に握ったハンドガンを放つ。実弾ではない。プラズマビームを発射する、連邦軍に配備されている最新武装。
普通の承認が仕入れられる代物ではない。奪ったか。連邦内にいるスペースパイレーツの支援者からの供給品か。
『そのあたりも、確かめなくちゃ』
【あなたの両親の仇ですからね】
プラズマビームはアクシャハラ・リアクターに対して強い。遺跡の物陰に隠れると、光学防壁をリセット、再展開する。
「お前らはこんなスゲェ代物を一人でがめてたんだろ? ちったぁ分けてくれたっていいじゃねぇか。富の回収と再分配は社会の基本だろ!?」
『奪うだけの奴らが言うな』
物陰から飛び出すと同時に加速。低空飛行で急接近しつつ、盾を構えてプラズマビームを弾く。限界まで接近したところで、右拳を打ち込む。
いくら相手にアクシャハラ・フィールドがあったとしても、近接突撃破杭拳の衝撃を相殺しきれるわけじゃない。
「ぐふっ!」
ガッソーの巨体が浮かび上がる。アーマーガンナーをまとっていれば同じくらいの視線だけれど、生身だったらきっと――いや、絶対勝てない。いくらクワハウの技術で強化した肉体でも、限界はある。
『アクシャハラ・リアクターは、銀河の平和を維持するために残したものなんだ。お前たちが好き勝手するためにあるんじゃない』
壁面に叩きつけられたガッソーへ向けて、ゆっくり歩いていく。相殺できなかった衝撃に悶える男に、ボクは右腕の装甲を開いて向けた。三つのミサイルが、その先端を突き立てた。
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