第十三話「敵対者」.1
気の抜けた声を発したのは、クロビアン人――地球のワニに似た姿を持つヒト型種だ。
帝国側に近い星域出身の種族で、高い戦闘能力と同時に、攻撃的な文化を持つ。
スペースパイレーツの元締めとされる帝国側にも多い、無法種族。
「そこのアーマーガンナー、お前かい。最近街で有名な教会で暴れたっていう奴は。コアを盗んだり、この遺跡まで来たり、俺たちになんか恨みでもあんのか?」
『クロビアン人の、スペースパイレーツだね』
「いや喋ろよ。でも答えてやる。その通りさ。クロビアン人に会うのは初めてか?」
『二度目』
「どうやらそいつはあまり紳士的じゃなかったらしいな。安心してくれよ。俺は紳士的だ。クロビアン人には珍しいって? そこは俺の魅力だよ」
ぺらぺらとよく喋る。このガーディアンを消滅させたり、遺跡のアクシャハラ・リアクターを回収したりとやることがある。アナトにはそのまま隠れているように伝えると、ゆっくりとクロビアン人に近づく。
『こいつ、誰』
【確認しました。スペースパイレーツ、ヴァーグス方面軍分隊長ガッソー。懸賞金額連邦通商金で六千八百万クォーブ。大物でしたね】
『顔認証は?』
【完了しました。懸賞金額理由は、多数の軍事施設の襲撃、および民間船の略奪。帝
国への軍事作戦協力。連邦基本法に基づき、その罪状は三百十六件に及びます】
地球人種であるボクには、クロビアン人の顔の見分け方はよくわからない。ただ、あいつではないこと何となくわかっていた。
賞金額は何とも高額だけれど、そんなの関係ない。
『ガッソーって言うんだ』
「おう。俺もちったぁ有名になってきたか? で、なんでここにハンターナイトが来てんだ? スペースパイレーツと戦うのがお仕事とかいうわけじゃねーよな?」
『スペースパイレーツ狩りは半分趣味だよ。お前たちと戦えるのなら、無報酬でもいい』
「おっとこれはとんだクレイジー野郎だったか。俺たちは悪いことはここじゃしてねーぞ? 放逐された遺跡だ。ヴァーグス政府だって禁止しちゃいない」
『けれど、ここはクワハウ人の遺跡だ。クワハウのものだ』
「まさかクワハウ人? ははっ、なら不思議技術のアーマーガンナーであることも、頷けるわけだ!」
クロビアン人ガッソーは腕を大きく上げた。直後、遺跡の入り口側から一斉射撃が飛んでくる。
とっさに構えた光学防壁がダメージを防ぐ。
紳士だなんだと言っていたくせに、容赦ない先制攻撃。なら、ボクも容赦しない。
『アクハト、照射用意!』
【出力上昇、弾速最速。敵ステルス看破完了! ロックオンマーカー表示!】
ホチャーのアシストが瞬時に攻撃目標を教えてくれる。視界に紫の光が集まっていく。
『あのクロビアン人には当てない』
【了解。捕獲準備】
『それ以外、消し飛べ』
拡散していくアクハトの光が、ガッソーを素通りする。暗闇の中にいる者たちを撃ち抜き、鱗の間から覗くにやけ顔を曇らせる。
「おい、その光……」
『お前たちが奪った光だ。返してもらう』
右腕を変形し、内部武装を展開した。
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