第十二話「遺跡の守護者」.4
加速するレイハガナの内部で、ボクはホチャーと会話する。
『回避運動に集中しつつ、機体をスキャン。内部構造の弱点を検索』
【構造判明、旧型アーマーガンナー支援ガーディアンと推定。経年数七千五百年単位と推測。修復可能性、きわめて低】
『破壊するしかないか』
同胞と認定されていなかったとしても、ボクにとってこれはコンゴーたちクワハウとの繋がりを示す。それを破壊するのは忍びなかったけど。
――行くよ、レイハガナ。
レイハガナを逆噴射で加速させると距離を少し取って柱の陰に身を潜める。そこで光学防壁を解除すると、アナトを降ろす。
『ここで待っていて。すぐに終わらせるから』
「気を付けてね。その、大変かもしれないけど」
大変さで言えば、スペースパイレーツを相手にするよりずっと大変だ。
それでも、負けるわけにはいかない。
『侵入者接近、排除する』
特殊な司令電波が流れた。節足動物たちは場所を開けて、遺跡の暗闇に姿を隠す。
【ハッキング不可能、完全独立仕様!】
『頭から潰す!』
荷電粒子砲は通常チャージを必要として連射できないはず。それを補うように、両肩から砲塔が顔を見せる。キィィン、とシリンダーの回転音が響く。
直後、発砲。爆発が鉛弾を弾き飛ばし、石造りの地面を削っていく。
細かいブーストと数度のステップで移動速度を上げ、迫りくる弾丸を回避する。
『手数が多い』
【なら、先ほどの武装を】
『わかった』
右腕の装甲が競り上がると、三連射のミサイルが姿を見せる。相手の足元、胴体二か所にロックオンマーカーをセット。強く加速してd砲撃の軌道から距離をとると同時に発射。
地面を先に吹き飛ばし、そのあと胴体をミサイルが打つ。視界を塞ぎ、動きを封じ、大きな隙を創り出す。
――ここ!
【フィオガ、回避を!】
急ブレーキから、敵正面への突撃。だが読まれていたのか、そこには荷電粒子砲の砲口が覗く。胴体はミサイルを受けたことで焦げ付き、装甲がはがれかけているが致命傷ではない。
間近にいるボクを狙って頭部が突き出されている。発射まで二秒とない。
でも――。
――終わりの、一撃を!
右腕の装甲がスライド。右手は左右に分離し、内部のパイルが顔を見せる。
その先端を、荷電粒子砲の砲口へ叩きつける。
ズドォォンッ!!
爆発音とともに弾かれる鉄杭。肘から排気が噴き出しながら、冷却を行っていく。
ゆっくりと鉄杭が引き抜かれ、ガーディアンの頭部からは損傷を表す電気が漏れる。
【頭部分にあるカメラ、射撃管制システムを破壊。攻撃機能の三十パーセントが停止。格闘機能はまだ停止していません】
『大丈夫。そっちも、終わらせる』
左拳を握り、手の甲を装甲へ当てる。そこにあるのは光学防壁発生装置。その出力を絞り、棘のように放出すれば、攻撃兵器にもなる。
胸部の中心。コアユニットを貫けば、ガーディアンの機能は停止した。その巨体は、力なく崩れ落ちていく。
【戦闘状況、終了】
『旧式のガーディアンだろうね。b-Anにはもっと強いのがいたよね』
【はい。最新式ガーディアンなら立体飛翔行動も、接近戦もお手の物ですから】
『ずっと、守り続けてくれていたんだな』
ごとりを地面に転がるガーディアン。このまま放置するのが何となく忍びなくなってくる。もっとも、この先遺跡を探索して言ったら、同じような感覚を味わい続けることになる。
――ありがとう。
『アクハト、低速モードで放出する』
【了解、放出速度調整。放出最小レベルを維持】
アクハトにエネルギーをチャージしていく。このまま残したくはない。
ならばせめて、誰かに触れられることのない場所へ。
「おいおい、どーしたお前たち。お、ハンターナイトかぁ?」
気の抜けた声が遺跡内に響く。
スペースパイレーツの武器を肩に担いだ、鱗に包まれた大柄なヒト型生物。
クロビアン人――その名前が出てきたとき右腕の装甲内に新しいミサイルを生成していた。
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