第十二話「遺跡の守護者」.3
「頼りにしてるから!」
アナトの言葉に頷きながら膝を付き、彼女に向けて左手を差し出す。彼女はその腕に腰かける形で掴まった。左腕から光学防壁を展開、背部プラズマジェットを起動し、跳躍するように発進。
地面を蹴って通路を進んでいけば、確かに奥から響く衝撃音が大きくなってくる。
『見つけた、スペースパイレーツだ』
「アーマーガンナーもいる。光学兵器持ちもいるわ。軍との戦闘で、鹵獲した個体ね」
光学兵器のほとんどは、連邦軍が優先的に配備されている。スペースパイレーツがそれを手に入れるには、連邦軍相手に喧嘩を売ったか、横流しされた品を買ったか。
後者は闇取引だとしてもあまりにも法外な値段が付くから、おそらくは前者だろう。
「あれが、この遺跡のガーディアン……」
『クマ、だね』
巨大なクマ。全高四メートル前後の巨体が、その腕に搭載された鋼の爪を振るっている。周囲を原生生物なのか、大型節足動物たちが取り囲み、逃げられないように包囲網を張っている。この状況、倒して進む以外に道はない。
「援軍か!? さっさと火力支援をしろ! こいつら硬くて弾が通らねぇ!」
「……いや早すぎる! そいつは味方じゃ――」
気づくのが早い。でも、容赦はできない。
『プラズマビーム、照射!』
チャージショットが一機を撃ち抜く。両腕を吹き飛ばし、前面装甲を破壊する。
「この状況を見て、こっち攻撃するのかよ! 心がねーのか!?」
『海賊が言うな』
ジェット推進で急速接近。殴り飛ばして機能を停止させた。
「キキキキキッ!」
「キャカッ!」
周りの節足動物たちの、声のような、羽音のような音が響く。正面に立つ巨大なガーディアンの視線が、こちらに向いた。
問題は、ボクがどちらに判定されるか。
『侵入者、排除……不正アクセスに対し、迎撃継続』
ダメだった。
いくらクワハウの技術といえども、何百どころか何千年単位で放逐された遺跡のシステムは劣化している。こちらをクワハウの仲間だとは認めてくれなかった。
大きさが違うだけで形状の似通ったアーマーガンナーを着ているのに。
『排除!』
ガーディアンの頭部が縦に開く。その奥に見えたのは、アクハトとは違う粒子の収束する砲口。
荷電粒子砲――アクハトの次元爆縮砲とは違い、こちらは現在の連邦でも採用されている武装の一つ。尤も、アーマーガンナーレベルにまで小型化が成功した事例はないはず。
――周辺に中性子反応はない。使うまでもなかったってことか。
「フィオガ!」
『目を閉じて!』
閃光が走る。反中性子の束が大気を貫く。光学防壁でなければ防ぐことができない。左腕でアナトを庇いながら光学防壁への出力を高める。アナトは左腕にしがみつき、少しでもダメージを減らせるように射線から逃れようとする。
けれど、ガーディアンの射線は首を振るだけで変えられる。横に凪ぐ攻撃が、光学防壁に当たって弾ける。
【アナトさん、ご無事ですか? マスターに応えられます?】
「大丈夫……ちょっと目がちかちかするけど、問題ないわ!」
『あいつを鎮める』
「やっちゃいなさい!」
彼女の言葉に頷きながら、ボクは機体を加速させた。
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