第十二話「遺跡の守護者」.1
クワハウ人は、いつか訪れる後継者のために、遺跡内に様々な遺物を残すようにした。
数千年前の文明放棄から始まるクワハウ人の銀河系レベルでの隠居は、いずれ生まれる次世代を慮ってのことだった。
自分たちが武力と技術で築き上げた大帝国のもろさと、行き着く先の不安定な社会からの脱却。
けれど、武力が不要になる時代が来るわけではないと、先祖たちもわかっていた。
だから、ここには放棄したはずの技術がある。
――ボクの先祖ってわけじゃないんだけど。
『よくぞ来た、我らの子孫よ。そなたが現れるまで、遺跡内では三百四十四回にわたる不正アクセスを検出した。我らクワハウの尊厳と銀河の未来のために、無粋な闖入者を排除してほしい』
その三百三十四回というのは、たぶんスペースパイレーツの仕業だろう。アクセスできないのに、そんなにも試行錯誤していたのか。
『この力を使うがいい。忌むべき力が、いつか銀河を救わんことを』
レイハガナの中にデータがダウンロードされる。アーマーガンナーの構造が若干変化し内部に武装が追加される。アーマーを装着しているのは通常のクワハウ人を想定している。
そのため、内部に拡張されるのではなく、外部に新たに構築された。
「それ、新しい武器なの?」
『ご先祖様の送りもの。実弾火器みたいだ』
右腕に弧を描くプレートが追加された。腕部プロテクターのように見えるけれど、そんなものをわざわざ残しておくわけがない。右腕を突き出し、起動コマンドを思考。
すると、装甲が少しだけ浮き上がり、内側に三連装ミサイルが見えた。
誘導兵器は搭載されていない。爆発力のある誘導兵器は使い勝手もいい。最大火力はもちろんアクハトに及ぶべくもないけれど、通常のプラズマビームに比べれば威力は高い。
――できれば実弾射撃兵装がよかったけど。
「すごいね、外部から入力した兵装データをそのまま再現できるんだ」
『ナノテクだからね。生体融合金属は、データさえあればシステムを構築することは簡単なんだ。ただミサイルには生成用材料が必要になるから、無限ってわけにもいかないけど』
データ内容を見てみたところ、おそらくは初期型のミサイルだ。アクシャハラ・リアクター開発初期段階のデータでは、まだ質量変換機能に対応したデータではない。
「けど、さすがに爆発音がしたら気づかれちゃうわね。ここまでステルスでやってきたけど」
『このぐらいの奴らなら、多少大勢で来ても問題なさそう』
「おお、言うじゃない。じゃあきっちり守ってね、ナイトくん!」
――お姫様になるには持ってるものがいかつすぎるなぁ。
こういう時、喋れないことがありがたいと思てしまう。
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