第十一話「遺跡調査開始」.3
周囲の安全を確保すると、ボクは振り返って同行者を見る。
『アナト、危なくなかった?』
「もちろん。フィオガが先んじて全部倒してくれるから、あたしはあとからゆっくり走ってくるだけで万事解決!」
一緒に来てほしいとは言ったけど、一緒に戦場に突っ込んでほしいわけじゃない。
なるべく早く合流できるのなら、多少離れる程度は、アクシャハラ・フィールドもすぐに消えるわけではない。
『危険を感じたらすぐに後退して。マフィアの奴らは、まだ君を狙っているかもしれないから』
「ふふっ、なんだかこうやって守られてると、昔話を思い出すなぁ」
『昔話?』
「そう。あるお姫様が、お着きの騎士に守られながら旅をするの。二人が何で旅をしていたかは忘れちゃったけど確か……うん。最後は栄光と財宝に囲まれて、幸せに暮らしました。――なんて話だったと思う」
まだ人類が、一つの星にしか存在しなかった時代。あまたの物語が造られ、語られ、受け継がれてきた。
厳しい現実に、悲しい過去に耐え忍んできた主人公が、最高の結末を迎える。
『ボクは、その騎士様にはなれないよ』
「騎士になんてならなく立っていいよ! あたしだって一方的に守られるのは苦しいし」
そう言って拳を握る彼女の姿は、なんだか頼もしい。
入り口の確保はできた。ここから先は少し狭い。モノホイールで自由に走り回るのは難しいだろう。アーマーガンナーが走り回るには十分だけど、車両が走るには狭くて周り角が多い。
『頼もしいのはありがたいけど、ここから先はさらに危ないから。むちゃはしないでね』
「自分の実力は把握しているから心配しないで。一人で戦わせちゃうあたしのほうが、ずっと心配なんだから」
モノホイールを壁際に立たせておくと、彼女はスペースパイレーツたちの武器を手に取った。銀河には様々な人型生命体が存在するけれど、そのどれもが同じような武器の発想に至る。実弾兵器をはじめに造り、光学兵器へと進化していく。
そしてどれだけ光学兵器が研究開発されようと、実弾兵器の信頼性を勝ることはない。
「うん。問題なく使える。やっぱり銀河標準規格はいいわね」
手際よくグリップを装着、マガジンの弾を確認した彼女は、その実弾ライフルを両手に抱えた。ギャラクシースタンダードは、銀河中の誰もが使える――というより、銀河中の誰もが、自分のアタッチメントを接続できる、ことに重点を置いてある。
誰もが使える武器は存在しない。でも、誰もがそれぞれに合わせた装置を持って、そこに接続さえできれば使える武器を開発した。
人間のような五指ではない、爪上の腕を持つ者には直接腕に巻き付けるようなグリップを。指が大きすぎるのならばトリガーとグリップを離した構造を。
人間ならば、直接握れるグリップとトリガーを。
『突入だ』
荒野の乾いた風が、遺跡の中へ吹き込んだ。
少しでも気に入っていただけたら幸いです。
評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。




