第十一話「遺跡調査開始」.2
アクシャハラ・リアクターについての説明を終えたフィオガは、最期に締めくくる言葉を表示した。
『――ってことらしい』
「じゃあ、その実験のためにこれは配られたってこと?」
【おそらくは。下手にエネルギーを取り出したら耐えきれずに周辺空間を飲み込む可能性がありますので、その実験のためではないでしょうか】
「って、これめちゃくちゃ危ないものじゃない!?」
震えた彼女の手からリアクターコアが零れる。落ちていく紫の光をとっさに捕まえた。ほっとするボクは、彼女の手の中にコアを戻す。
『リアクターコアそれ自体は危険じゃないよ。それを取り出した結果が危ないだけで』
「そう……フィオガ、そんなの使ってて大丈夫?」
【ご心配無用です。私がしっかり管理しておりますので!】
『ありがとうホチャー』
頼もしいサポートがあれば、問題なくアクシャハラ・リアクターは運用できる。
『そろそろ行こう。他のスペースパイレーツや、マフィアの軍隊が集まってきたら戦いづらいから』
「アーマーガンナーで突っ込む? あたしはいないほうがいいかな」
『できれば近くで待機していてほしい。あいつらが君を狙わないとも限らないし、アクシャハラ・フィールドのエネルギー供給のためにも近くにいて』
アクシャハラ・フィールドを纏った敵がいれば、それを突破する手段は限られる。
実体のある攻撃は、大質量かつ高速でなければ、相転移するフィールド突破できない。
『ボクの装備なら、問題なく突破できる』
「ならしっかり守ってね。信じてるから」
『任せて』
――レイハガナ、起動。
ボクの体が光に包まれる。生体融合金属がアーマーガンナーを構築し、ボクは体を縮ませて胴体部に収まる。
背部のブースターも問題なく起動する。
【警報を鳴らされる前に正面入り口を制圧してください】
「がんばって!」
モノホイールのタイヤが回ったと同時に、ボクはアーマーガンナーを加速させる。プラズマジェットを噴かすと、空気を切り裂きながら接近。
敵の迎撃体勢が整う前に、こちらの戦闘距離へと到達する。
「な、こいつは――」
『遅い』
頭部カメラに表示された煽りは、読まれる前に不要になる。
突き出した掌が、警備のスペースパイレーツを突き飛ばす。同時にチャージした頭部のプラズマビームを、遠くの個体へ向けて撃ち放つ。獣の咆哮のようなものを発しながら放たれた紫の雷撃は、まっすぐにパイレーツの肉体を貫いた。
「警報を――」
『させない』
指から放ったショックストリングが瞬時に敵を絡め、マヒさせる。
クワハウの施設は、外部からの目を遮ると同時に、外部からの通信も遮る。そのため内部に通じる警報装置はアナログな警音機であり、スイッチを押さなければ起動しない。
内部へ伸びるコードから伝わるはずの通信も、発信者がいなければ何も起きない。
「これで、全員撃破完了だね」
危なげもなく、最初の目標は完遂した。
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