第十一話「遺跡調査開始」.1
モノホイールの車体が停まる。
目の前の渓谷に、遺跡の入り口が見える。アナトは目から外した望遠鏡をボクは渡された。
「結構厳重そうね。発掘作業中みたいね。出入りも激しいみたい」
『地下空間だから上空からのスキャンは通らない。内部構造はクワハウ由来だからスキャンもできない』
「クワハウの技術で造られたものなのに、調べられないの?」
『うん、無理みたい』
【すみません。スキャン能力より防衛能力のほうが高いのです】
ホチャーからの謝罪に、気にしないでほしいと応える。
彼女は望遠鏡をしまうと、モノホイールのエンジンをかけ直す。正面から突撃するならそれもいい。ただ遺跡は多少要塞化している。アクシャハラ・フィールドは光学兵器には弱い。
スペースパイレーツが、多少エネルギーに不足はあっても光学兵器を持ち込んでいないとは限らない。
「フィオガ、アクシャハラ・リアクターのフィールドは光学兵器を止められないんだよね」
『出力の高さによる。軍の通常火力なら、熱は感じるけど防げる。近接光学兵器は止められない。アクシャハラ・フィールドの特性は弾くことで、反射することじゃないから』
このまま突っ込んでいけば、大型光学兵器によって吹き飛ばされるだろう。衝撃吸収性のある相転移フィールドとは言え、許容限界もある。
「あいつら、あの遺跡で何やっているのかな」
『発掘作業なのは間違いない。問題は、何を発掘したか、かな』
クワハウの遺跡は、様々なものを残している。のちに訪れる者たちのために残したもの。管理するのに問題があって隠していたもの。
何より、それはあいつらのためにあるものじゃない。
『何にしろ。あいつらから取り戻す、クワハウの遺産は、スペースパイレーツが遊ぶためにあるんじゃない』
そのための、力だ。
「そういえば、マフィア共にこれを配ったの、何の意味があったんだろう」
そう言ったアナトは複製リアクターコアを取り出した。リアクターコアそれ単体では何の意味もない。それを機能させるだけの周辺システムがあって初めて、異次元からのエネルギーは手に入る。
けれど、かつて。コンゴーが言うには。
「リアクターコア周辺のシステムは、実はアンブロス・ジェネレーターからさほど更新されていない。許容限界はかなり増しているし、変換効率も上がっている。けど取り出すこと自体は、アンブロス・ジェネレーターと変わりはないんだ」
『じゃあ何がそんなに革新的だったの?』
「アンブロス・ジェネレーターには、内部に特殊な源石を使ったエネルギーコアがあった。そこからエネルギーを取り出していた。そこから発展したアムリット・エンジンは特殊な液状物質からエネルギーを取り出した。そして」
『そして?』
「アクシャハラ・リアクターは、リアクターコアそのものからではなく、その先にある異次元から膨大な、桁外れなエネルギーを取り出すことに成功したものなんだ」
つまり、最初から限界がわかっているアンブロス・ジェネレーターや核関連機関とは違い、発生するエネルギーに理論的限界がない。
数世代、確かに上回る技術であろう。
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